文春文庫新刊 2 

 今月の文春文庫新刊「腹を抱へる」には丸谷才一エッセイ傑作選1となっています
が、帯には、「丸谷才一全集 全十二巻 待望の完結」とありますので、これは完結
記念的なものでしょうか。
 「全十二巻」で丸谷全集というのに無理があると思うのは当方だけでなく編集委員
の皆さんも同じ思いでしょう。まあこの時代に全集というのがでるだけまだましで
しょうか。
 全集については、図書館にでもいって手にとることにしますが、小説は全部で六巻
で、これはまあこんなものでありましょうし、評論が六巻にまとまっているというの
は、もうちょっとあってもいいかなです。(購入するとすれば最終巻でありますね。
年譜その他とありますが、年譜と著作目録が充実しているとすれば、これは買いと
なるのですね。)

 全集にまったくはいっていないのはエッセイと対談、あいさつ文などであります
が、これは見事に割愛です。誰でももったいないなと思いますでしょう。
 この文庫の編集は、「丸谷才一全集編集部」が行ったとありまして、この編集に
ついて、編集部が次のように記しています。
「『丸谷才一全集 全十二巻』に続き、『エッセイ傑作選』二巻を文庫版でお贈りし
ます。
 生前、丸谷さんに全集刊行についてご相談した際、『巻立ての都合で、ユーモア
エッセイ、対談を収録することができませんが、これは文庫版で傑作選として刊行し
ます』と約束していたものです。
 本業である小説・評論とともに、丸谷さんはエッセイ・対談を、仕事の重要な柱と
なさっていました。
 数多くの作品の中から何を選ぶか、編集部で迷いに迷った末、エッセイを中心とし
た『腹を抱へる」と、対談も含む『膝を打つ』の二巻の構成といたしました。
どうかお楽しみください。」
 当方は丸谷才一さんについては、ずっと関心をいだいておりまして、翻訳したもの
をのぞいてはほとんどを購入しているはずですが、エッセイでこれが印象に残って
いるなというものが、にわかに思いつかずであります。あらためてこれまでの
エッセイ集の目次をながめることができればよろしいのですが。