阪田寛夫全詩集を編む 10

 当方は、詩人 阪田寛夫さんよりも、小説家阪田さんのほうが好きでありますが、
それは阪田さんのものに限らず、詩よりも散文のほうになじんでいるからということ
なのでしょう。
 どちらが後世に残るのであるかというと、小説家 阪田さんは、少数の熱心な
ファンがいるというのに対して、児童詩の世界では、阪田さんという作者の名前が消
えて文部省唱歌のような作品となっているのですから、こちらのほうでありましょう。
どちらにしても阪田寛夫さんの生み出した作品世界であります。
 昨日に「海道東征」に言及して、そういえば、この作品については、過去にも何度
か触れたことがあったなと思い、見直しをしましたら、以下のところにありました
ので、これもご覧いただければと思います。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20070504 
 阪田さんが招集されて歩兵部隊に入隊し、戦地に赴くのですが、天下のエリートで
幹部候補生への道を選ばなかった人というのは、ごくごくまれであるはずです。
階級一つ違えば、偏差値はなんの意味ももたない世界でありますからね。このような
道を選んだ人としては、古山高麗雄とか富士正晴ですが、この二人は旧制高校で自ら
落ちこぼれたのですが、阪田さんはそこまでおちこぼれてはいないですから、やはり、
これは軍隊という世界で、上に立つことを潔しとしなかったということでしょう。