「ちくま」で公営ギャンブル入門

 先日に届きました「ちくま」3月号をみていましたら、藤木TDCというライター

が「公営ギャンブル」を話題にした文章で手がとまりました。

 この文章のタイトルは「ドラマチックなレース、興奮と感動。大人の娯楽は

たった百円から」となります。

 この文章の書き出しは、幻の作家能島廉さんの「競輪必勝法」の引用から

始まりますが、引用に続いて、次のようにあります。

「上記は1964年に35歳で没した小説家・野島廉の代表作『競輪必勝法』の

一節だ。『競輪必勝法』は書評家の北上次郎もギャンブル小説の傑作のひと

つに挙げている。しかし現在、親本『駒込蓬莱町』1965年は入手難で読むこ

とは少々難しい。ただ学藝書林『全集・現代文学の発見・別巻』に収録されて

いるほか、休刊した文芸誌『en-taxii』31号(2001年ママ)が文庫型の別冊付

録として再録したものがある。」(注 「en-taxii」31号は2010年刊行です。)

 久しぶりに能島廉さんの名前を見たことであります。

 当方は佐藤正午さんが競輪ファンということから、競輪小説に興味を覚えた

でのすが、ちょうどその頃に「en-taxii」31号の別冊付録で「競輪必勝法」を読む

ことになりました。

 能島さんは、旧制高知高校出身で、そこで一緒であった三浦朱門阪田寛夫

さんとともに東京帝大に進み、ともに「第15次 新思潮」同人として活動をする

のですが、まあけっこうとんでもない人で、卒後は小学館で編集者となるのです

が、11年ほど勤めて退職し、かっての同人たちをハラハラとさせたのですね。

 それもこれも酒とギャンブルのせいであったのかなと、阪田寛夫さんが書き

遺した能島さんの年譜を見て思うことです。

 能島さんの作品がいくつかまとめて読むことができる別冊付録は、坪内さん

が残してくれた贈り物でありまして、ほんとありがたいものです。

ダメ人間ということでも、能島さんは西村賢太さんにも大絶賛されていまして、

この作家さんを埋もれたままにしておくのは、もったいないことです。

 今回の藤木TDCさんの本が良く売れたなら、ちくま文庫で能島廉さんの本が

でるなんてことにはならないかなです。

 藤木さんは、自分の本を紹介する枕として「競輪必勝法」を引用していたので

すが、当方は、能島さんの話題だけで終わってしまいました。

能島廉「競輪必勝法」en-taxi 別冊付録  ちくま3月号

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