富士さんとわたし4

 「富士さんとわたし」を読んでいると、富士正晴さんの古い小説集なども
取り出してきたくなる。さすがに富士正晴さんの本で初期のものは、古本やで
購入したら、売れ残っていたものを新本でに入手したものです。
 でてから10年くらいも売れずに新本で流通なんてことが、昔はよくあった
ので、未来社からでた「あなたはわたし」「贋海賊の歌」などは、いずれも
売れ残っていたものです。いまでは入手困難と、山田稔さんは書いていたように
思いますが、ネットで検索をしますと、とてもリーズナブルな価格で販売されて
います。
「 『あなたはわたし』は秀作である。富士正晴の代表作のひとつだと思う。
 わたしは、本稿を書きすすめるうちに、富士正晴の作品のれこれを読み返す
機会を得た。これをかくことのわたしにとっての意義は、おそらくここにあった
のだ。文章の恩恵は思わぬところで与えられるものである。」

 「富士さんとわたし」は寄り道をしながら、あれこれと思いをめぐらして
読むのが正しい読み方のようであります。