「ザ・ハイスクール・ライフ」

 松岡正剛さんの書くものは、ちょっと肌合いが違うと思うので雑誌「遊」も、
ほとんど購入することなく、ここまできています。今年にでた「千夜千冊」は
ほんとうにすごいと思うのですが、ネットでもほとんど読んでいませんでした。
 「千夜千冊」のことをネットで検索をしていたときに、あれっと思うくだりに
あたりました。特にそのあと、さらに調べることもせずにここにいたっているの
ですが、先日に図書館で借りてきた坪内祐三さんの「四百字十一枚」をみて
いましたら、次のような記述がありました。

「 前田愛橋川文三との二つ目の対談『政治小説と明治20年代の文学』は
 今回この本で初めて読んだ。いったい初出は何だろうと思ったら、旺文社の出して
いた「高校クラスルーム」の74年十月号とある。
  1974年なら、ちょうど私が高校に入学した年だが、こんな高度な対談を、
 当時の高校生が理解できたはずがない。
  ひょっとしてこの雑誌は、あの松岡正剛がだしていた伝説的な高校生雑誌では
 ないか。それは私のカン違いかもしれないが。」

 松岡正剛さんをネットで検索していて、あれっと思ったのは、かって高校生むけの
雑誌を編集していたというくだりをみたことです。
超難解な高校生向けの雑誌(本当はタブロイド版のフリーペーパー)というと
「ザ・ハイスクール・ライフ」が思い浮かびます。それでこの紙名と松岡さんで検索を
したら「千夜千冊」の以下の記事にあたりました。 
 そうか、あの不思議な新聞は、松岡さんが編集をしていたのか。
 あれはいつころにでていたものだろうか。松岡さんの文章では、25歳のころと
あるから、69年くらいでしょうか。ちょうど小生が高校から大学のころのようです。
 松岡さんの文章には、次のようにあります。 
 
「ぼくは広告とりのかたわら東販からの依頼で「ハイスクールライフ」という書店で
無料配布する高校生向けの読書新聞を編集することになった。表紙を宇野亜喜良
イラストレーションで大きく飾り、そこに石原慎太郎倉橋由美子谷川俊太郎らに
"青春の一冊"を綴ってもらい、組みこんだ。創刊号が朝日新聞で採り上げられた。」

 あの新聞は、書店でもらって保存していたのですが、いつころか処分したもので、
いまは手元にないはずです。
これで一番印象に残っているのは、稲垣足穂中村宏のことでしょうか。もちろん、
当時足穂は同世代にはほとんど知られていませんでした。中村宏のセーラー服を着た
女の子の絵とか、機関車が空を飛ぶとか、「ロバチェフスキー空間」のこととか、煙に
まかれたものです。
 自宅の納戸にでも残っていたら喝采をあげるのですが、入手してから40年弱で
ありますから何回か家移りしたときにたぶん整理をしたのでしょうね。
もちろん、あの新聞には稲垣足穂だけでなく、高校生の学校新聞つくりで有名であった
大木薫さんの文章などもあったように思います。
 最近の新聞の投書欄で「大木薫」さんの名前を見いだしますと、むかしの「ハイスクール
ライフ」をなつかしく思い出すのでした。