本日の新聞に富田武さんが5月19日に亡くなったとありました。
急性骨髄性白血病とのことで、これがために発病して早くに亡くなられたの
でありましょう。79歳ということですから、当方の感覚ではまだまだこれから
でありましょう。
専門はソ連政治史や日ソ関係史とありまして、当方が図書館から借りたの
も、「日ソ戦争」とその後の抑留についてのものでありました。昨年に中公新書
から「日ソ戦争」という本が刊行され、話題となりましたが、富田さんはその道
の先行者でありました。
富田さんは、この他にもいくつかの著作がありまして、一つは日本左翼史
(特に日本共産党)に関するもの、もう一つは自らも関わった大学闘争につい
てのものとなります。
大学闘争についてのものは、ちくま新書からでていますので、入手は容易で
あると思われますが、このものは、当方は読んでおりません。
富田さんは、大学院を終えてから、研究者を志したのでありましょうが、大学闘
争での活動が影響したようで、大学に職を得ることができずに、ながく予備校
で世界史を教えていたとのことです。(大学に受け入れられない人に予備校が
場所を提供していた時代がありましたですね。)
そして予備校で教えていた時代の経験が生きたのではないかと思われるの
が「ものがたり戦後史」となるのでしょう。
この本のまえがきの最後には、次のようにあります。
「本書はむろん、既成の日本史、世界史教科書の記述を組み直したものではない。
歴史研究の最新の知見も盛り込んでいる。本書は、年表や図版、コラムをかなり
取り入れた点も含め、大学生にも社会人にも興味深い『戦後史再入門』になって
いると自負する。」
歴史の勉強といえば、大学受験のためにやるということであったかと思います
が、いまのように歴史の書き換えが普通のことになってしまったら、まずは歴史研究
の裏付けある著作を読んでみるというのはいいのではないでしょうか。
ほとんど理解できていないところもありながら、富田さんの著作からは教えられる
ことが多くて、勉強になったことです。


