あいかわらずでつまみ読みの日々であります。図書館から借りた本が未読
のままで積まれていますし、ブッカー賞の関連で先日にはカズオ・イシグロの
文庫本を初めて買ったりしてです。
これまで読んで見ることもなしできていたカズオ・イシグロさんの作品で
ありますが、手にして中をのぞいてみましたら、思いのほかページが稼げて
あら、これは読み通すことができそうだであります。
とはいってもまだ100ページをすこしでたところですが、端正な作品でして、
これを書いたときに35歳くらいというのは、やはりすごいな。読んでいまし
たら、日本の作家では辻邦生さんに重なるものがあるかなと思ったりですが、
これは題材のとり方とか、抑制された文体などに似たところがあるからで
しょうか。
今週末になんとか読み上げてしまいたいと思っているのは、もう一年近く
も手にしているトニー・ジャットさんの「ヨーロッパ戦後史」であります。
一年近くかかってなんとか上巻が読めるかどうかであります。ほとんどなんに
も頭に残ってはいないのですが、まあわからんでもページをめくるだけでも意味
があると思いたいことです。
戦後史(上)は1945〜1971でありますので、この巻のおしまいのところは当
方が20代に入るところでして、そこそこ同時代のことになり、当方の記憶に残っ
ていることです。トニー・ジャットさんにしてからが、当方よりもいくつも年長
ではないのですからね。
本日に読んでいたところにあったくだりを引用です。
「あらゆる世代が世界を新しいものとして眺める。60年代世代は世界を新しいも
の、そして若いものとして眺めた。歴史上の若者の大方は年長者でいっぱいの世
界に入ってきて、そこで影響力や手本を示す地位を占めているのは先輩たちで
あるものだ。ところが1960年代半ばの世代にとっては、状況がちがっていた。
文化の生態系は昔より速く進化しつつあった。大人数で、裕福で、甘やかされて
いて、自信があって、文化的に自律している世代と、通常は少人数で、不安定で
大恐慌の痛手や戦争の傷あとを抱え込んでいる両親世代を分けていたギャップは
従来の年齢集団間の距離よりもはるかに大きかった。」
日本でいうところの団塊の世代でありますね。学生時代は大学闘争にはまり、
卒業して会社などに就職するとモーレツ社員となった人たちです。結局のところ、
現代の停滞した日本を作ったのは、団塊の世代といわれることになるのかな。