図書館から借りている本で、明日に返却日を迎える本が5冊あり、図書館の
マイページを確認しましたら、そのうちの一冊には予約が入っていました。これは
どうしても明日に返却してしまわなくてはです。この本は、すこしはページをめくる
ことができたのでよろしいのですが、他の4冊はまるでだめでありまして、貸出の
延長を行うことにしましょうです。
そのうちの一冊は酒井忠康さんの「船越桂 森の声を聴く」となります。
今年の3月に亡くなった船越桂さんですが、この本は船越さんの生前に計画を
されていたのですが、作業が遅れて、結果として追悼集のようなことになったとの
ことです。
船越桂さんといえば、お父上は著名な彫刻家でありまして、父親の日常を近く
で見ていて、よくぞ彫刻家になろうと思ったものと、当方などは不思議に感じたも
のですが、時代的には親への反発というのがテーマでありましたからね。
ちょっとまだつまみ読みで、気になったところをメモしているのですが、なかでも
船越桂さんの絵本「おもちゃのいいわけ」(すえもりブックス)を話題にしているとこ
ろが印象に残りました。
桂さんが、自分の子どもたちために作ったおもちゃとか、子どもたちを模した木
彫についてでありますが、それを桂さんは、次のようにかいているのだそうです。
「すこしお姉さんっぽく立つ小さなみもと、危なっかしく歩を進めようとする、巨大
な赤ちゃんっぽい兄の械の姿。どうも姿と大きさの関係に違和感がある。並べて
見ると、いつも心の中で気になるのである。彫刻の時と同じで、計画性に乏しい。
それでも作ってよかったと思う。これを見ていると、あのころの彼らの動き、声、
服装や、家の中がどんなだったかまで見えてくるような気がする。
逃げていった時間が、私のそばにフッと立ったように思うことがある。」
この文章を受けて、酒井さんです。
「『逃げていった時間が』とはまた、何としゃれたいいまわしだろう。わたしはこう
した記憶のありかたの不思議を、それとなく掌編で語る人を好むが、船越さん
の玩具の作品のように、威張らない彫刻はいいなあと思っている。
それに比べて、現代彫刻はどうして、こういうところから離れてしまったのか
そんなことを反芻した。もとおりこれは是非の問題ではない。」
船越桂さんの彫刻作品は多くの本の装丁に使われていまして、ここで語られて
いる兄と妹の作品も、次の文庫本のカバーになっていて、よく知られているもの
でした。

