すこし回復で

 昨日に風邪薬を買って、服用したおかげで徐々に熱は下がってきています。

本日の午前には、どっと発汗しましたので、それですこし楽になりました。とは

いっても熱は36度から7度を前後して、のどの痛みも残っています。

明日の朝には、もうすこし良くなっているでしょう。

 風邪になってからまったく読むことができなかった本も、本日の午後くらいか

ら、すこし手にすることができました。これならいけるだろうと網野菊さんの文庫

から「さくらの花」という小説を読んでみることに。

 この作品が発表されたのは、昭和35年7月「群像」とありますので、65年

近くも昔に書かれたものになります。昭和の作品ではあるのですが、若い人た

ちにとっては、ずいぶんと古めかしく感じることでありましょうね。

 この作品は作者の妹さんが病を得て、亡くなるまでを描いているのですが、

内容が内容だけに、すこし弱っているところには重たいものであるのかもです。

この時代にガンに罹患するということは、かなり生存率が低かったはずであり

まして、患者本人にガンを告知するなんていうのは、ぜんぜん一般的ではあり

ませんでした。

 国民病といわれた結核がなんとか克服できてきて、そのあとにクローズアップ

されることになるのががんでありますからね。

 作中の妹さんは、付き添ってくれている方に次のように話をしたとあります。

(ちなみに、このときの妹さんは40題半ばくらい)

「私は何もわるいことをしないのに、どうして、こう苦しまなけりゃならないのかし

ら? 私は婚家のためには随分つくしたのよ。」

 「何もわるいことをしないのに」というのは、がんが原因で亡くなった亡父も

もらしておりました。亡父の場合のわるいことというのは、呑むうつのたぐいの

身体に悪影響を及ぼす行為であったようにも思いますが、それでもがんは見逃し

てはくれなかったですね。

 なんとか、このきびしい小説を読めたというのは、すこし気力が回復してきて

いるということでしょう。