明日であれば嘘になるか

 この国では三月末で会計年度が終わりとなりますので、明日からは新年度と

いうことで、学校では入学式があったり、TV番組の編成替が行われるよう

です。

 この国で暮らしていると、これは至って理にかなっているようにも思いますが、

数年前には、大学の新学期は米国などにあわせて秋にしたほうが、良い人材を

確保しやすいのではという声があがりましたです。

 なんといっても、4月1日はエイプリルフールでありますからね。そんなことを

思いながら本日を過ごしていましたら、WEBのニュースに、これは嘘であって

ほしいなと思うものが、いくつか目に入りました。

 まずは訃報でありますが、船越桂さんが亡くなったとありました。72歳とのこと

で、生年は当方と同じであります。肺がんとありました。お父上のことを考えまし

たら、まだまだこれからでありましたでしょう。

 今から20年ほど前に、旭川市で船越桂さんの展覧会がありまして、それを

見物にいったことがありました。ちょうどその頃に入手した桂さんの作品集を

持参したのですが、会場から移動して船越父の作品が常設されている中原

悌二郎記念彫刻美術館で見物をしていましたら、たまたまそこに桂さんが

現れまして、ラッキーなことに当方は持参の作品集にサインをしてもらうこと

ができました。

2003年9月6日 旭川中原悌二郎記念彫刻美術館 船越桂サイン

 立派な父親と同じ道に進むというのはよほど大変なことでありまして、相当な

覚悟がなくてはできないことです。どんなになっても、父親と比べられるわけです

から、自分のスタイルを確立するまでに苦しんだことでしょう。

 この作品集には、製作中の写真なども掲載されていまして、それを見ましたら、

くわえタバコで写っているものもあって、この習慣が続いていたとしたら、今回の

死因につながったとしても不思議ではありませんです。

 そういえば、今年に入って送っていただいたカタログに桂さんのドローイングが

掲載されていました。価格はお問い合わせくださいでしたが、もちろん問い合わせ

ることはなしで終わりました。

 同年に生まれた方の訃報というのは、哀しいものであります。

 合掌

カタログ掲載の船越桂ドローイング