訃報あり 坂根厳夫さん

 本日の朝刊に坂根厳夫さんが亡くなっていたことが報じられていました。

 訃報記事には次のようにあります。

「 4月28日、老衰で死去、94歳。葬儀は近親者で営んだ。

 東京大で建築を学び、朝日新聞の科学部や学芸部で記者を務めた後、編集

委員。慶応大教授や岐阜県情報科学芸術大学院大学学長などを歴任した。

 芸術と科学の境界領域を対象とし、早くからメディアアートに注目、展覧会の

企画にも携わった。日本文化デザイン賞を受け、『遊びの博物誌』『イメージの

回廊』など著書多数。」

 4月28日に亡くなっていましたか。94歳とのことですから、歳に不足はなしで

ありますね。その昔であれば、もっと知られていた人でありますが、このところは

あまり話題になることもなかったですね。

 いまほどに検索をかけてみたのですが、最近は検索をしても商品関連ばかり

でありまして、坂根さんの業績とか人となりについて参考になるようなものは

あまりヒットしないことです。その昔はこんなにひどくはなかったのですが、検索

結果もグーグルなどの思うがままでありまして、もっと使える検索システムが

ほしいと思うことで。

 それはさて、当方は坂根厳夫さんの書くものを楽しみにしていて、新聞に連載

されていた「遊びの博物誌」などが最初でありましたが、スクラップブックに整理

して保存していました。

 当然のこと、このブログでもはじめて早々に坂根さんの著作を話題にしており

ました。最初に取り上げたのは、「美の座標」でしたが、みすず書房らしからぬ

みすずの本でありました。

vzf12576.hatenablog.com 坂根さんの本で一番話題になったのは「遊びの博物誌」でありまして、

エッシャーの絵画とか、消える小人なんてだまし絵を知ったのは、この連載で

ありました。この「遊びの博物誌」は新聞から単行本となり、そのあとには

展示となって、全国を巡回した人気企画でありました。

 当方が手にした坂根さんの最後の本は、「メディア・アート創世記」であり

ました。

 この「メディア・アート創世紀」を読んでいて一番驚いたのは、坂根さんが

宮津の中学校で中村とうようさんと同学であったと記してあったことです。

中村とうようさんが亡くなったあとに、この場でとうようさんを話題にしており

ましたら、それをご覧になった坂根さんから書き込みをいただいて、個人的に

中村とうようさんについて知るところがあれば、連絡をいただきたいとあり、

まるで恐縮してしまったことを思いだします。もちろん、当方は坂根さんと同様

に、中村とうようさんもファンというだけで、個人的な交流はまったくないので

ありました。

vzf12576.hatenablog.com

 坂根さんの本には、杉浦康平さんの装丁が良くあうようですが、このお二人が

ともに建築科(理系)出身であるというのも関係しているでしょうか。

 ほんとうに坂根さんのおかげで、ずいぶんと楽しませてもらいました。