お神輿は担がなくては

 いつもでありましたら、お祭りのお囃子が聞こえてきても、そわそわしたり

することはないのでありますが、今回は特別ですね。

 これまでで、このようなものをめぐるお祭りといえば、ウィンドウズ95の

売出しの時とか、村上春樹さんの新作販売の時に、販売店に行列ができた

ことを思いだすことです。もちろん、当方はそのどちらにもならぶことはありま

せんでした。

 ウィンドウズ95なんて深夜0時からの販売ではなかったろうか。新刊の販

売も、時間を決めての販売にしてくれれば、全国一斉に売出しとなって地方

にいてもタイムラグはなくなるのになです。

 今朝一番で、書店員をしている人から、本日に「百年の孤独」が入荷した

よと連絡がありです。当方の予想では28日にこちらの本屋さんにならぶもの

と思っていましたので、それよりも一日早くなりそうです。

 ちょっと色めき立ちことで、本日の夕方に野暮用を終えてから行きつけの

本屋へと立ち寄ることにです。

 本屋ではまっすぐに文庫本のところに向かいましたら、ありましたね「百年

の孤独」が、他の文庫であれば3冊くらいしか入らないのが、その倍くらいは

積まれていましたです。なるほど写真で見てきた装丁であります。気分がいい

ので、他の文庫一冊とあわせてレジに持参することにです。

残念ながら、この店では「読み解き支援キット」の配布はありませんでした。

 当方はこの小説を何度か読んでいるのですが、いつも初めて読むような

気持ちになっていて、それこそマジックに騙されるのを面白がっているのです

よね。この小説は頭で理解しようとせずに、そうだったのかと驚いていたほうが

楽しめると思うのです。

 世界的なベストセラーでありますからして、エンタテインメント小説としても

よく出来ていますし、文学としても優れているという、めったにない小説です。

最初のところが印象的で、その先へといくと頭がこんがらかるかもしれません

が、これはこんがらかるように書かれているのですから、こちらはこんがらがっ

たまま、前に進めばいいのですね。

 当方は、この作品の翻訳がでた、その年の暮に読んだのでありますが、それ

から10年後にはノーベル文学賞を受けたのですから、同時代の小説がノーベ

ル賞を受けたことに感動したことです。なんといってもその時のマルケスは55

歳でありますし、なによりも受賞より前に代表作を読んだなんて経験はなかっ

たのですからね。

 半世紀の時をこえて、最初の一冊と最新の一冊を並べてみました。

左は1972年の初版 右は2024年の文庫版