なんとか片手で

 なんとかちくま文庫に入った鹿島茂さんの「神田神保町書肆街考」を入手であり

ます。一足先に手にした家族からは、片手で持つのが大変な厚さと連絡がありまし

たが、それは彼の手が小さいからなようです。

 これで大変といえば、厚い文庫王ともいえる京極さんのものは、どうするのだか

と思いましたが、京極さんの小説に彼が手を伸ばすとは思えないことで。そういえ

ば、当方も残念ながら京極夏彦さんの小説は手にしたことがないことです。

 それじゃ、当方が最近に購入したもので、一番部厚い文庫本といえば、これが

ありましたですね。

 ほとんど千ページの文庫本ですが、一体何センチの厚さなのでしょう。これは

片手で読むのは難しそうです。いまだに目を通すことができていないのは厚さの

せいでありましょうかな。

 それはさて、「神田神保町書肆街考」を手にして、これが「ちくま」に連載され

たものであると知りました。まったくうかつなことでありまして、「ちくま」は

ずっと購読していますのに、これが連載されているときには、ほとんど読んだこと

がありませんでした。(別に単行本になったら買って読もうと思ったわけではない

のですが、関心がなかったのかな。)

 そういえば鹿島茂さんは、現在も「ちくま」に「吉本隆明2019」という連載

をしていて、これが44回目になっていますので、これが単行本になったら、また

また分厚いものになりそうです。(「吉本隆明」さんはパスですね。)

 どのようにすれば、この「東京神保町書肆街考」を読みすすむことができるかな

と、この本の索引を見ながら思案することです。

 それこそ、このような本に索引がついているというのは、ありがたいことであり

まして、人名と書名で調べることができて、本日に索引を参考に確認したのは、脇

村さんの「東西書肆街考」にも登場する人についてです。

小汀利得は中外商業新報(後の日本経済新聞)社長で、戦前も弘文荘の重要な顧

客だった。戦後は公職追放の憂き目にあったが、コレクターとしての情熱は衰えな

かったらしく、公職追放解除前から弘文荘目録の重要な買い手となった。おそろく

あまりの安値に驚いて、四方八方から金を工面して参入したのであろう。われわれ

の世代には、小汀利得はテレビの『時事放談』で床屋談義レベルのことをほざいて

いる爺さんとしか見えなかったが、じつは偉大なるコレクターであったのだ。」

 そうなんですよね。小汀利得さんは「時事放談」で嫌われ爺さん役を努めていた

ので、当方などもこの人は何なんだと思ったのですね。この人が古書籍の蒐集を

していると知ったのは、何がきっかけであったのかわかりませんが、当時の認識

としては、利殖のために古書籍を買っている人ということになっていました。

 小汀利得のコレクションは昭和30年から40年代に売りたてに出されて、大学

とか図書館に収まったとあります。

 このようなくだりを読みますと、反町茂雄さんの本も引っ張り出してきたくなる

ことです。