本日の新聞広告をみていましたら、ずらっと文芸誌がならんでいました。
先日に「なんでも鑑定団」にでてきて新発見資料といわれた井上ひさしの戯曲
は「すばる」に掲載となりました。番組あとの新聞報道によりますと、あの
戯曲は井上夫人が買い取ったということですが、そのうえで「すばる」掲載と
なったのですね。
「文學界」7月号は、特集「西村賢太 私小説になった男」とあります。
「享年 五十四。『最後の私小説書き』を対談、回想、手記、名言集で追悼。
あなたはまだ本当の西村賢太を知らない。」
ご本人が亡くなっての追悼特集で、これは「本の雑誌」についでのものとな
ります。どこの版元の編集者さんも西村さんに煮え湯を飲まされ、その上で
ひどくコケにされているのでしょうが、それでも大人でありまして、ここは
ぐっと我慢して、評価すべきはきちんとでありますね。
西村さんの遺作となった小説は「雨滴は続く」で、これは「文學界」での
連載(ただし急逝により未完)でありましたので、「文學界」での特集が
一番なじむようであります。
文藝春秋社の担当編集者は田中光子さんという方だそうで、「本の雑誌」
の「担当編集者座談会」にも登場です。
晩年には西村さんもすこしは人間が丸くなったのか、ほかの男性編集者ほ
どは嫌な思いはされていないようであります。
田中さんは、座談会では次のように語っています。
「自分が知っている西村さんは文春田中用にチューニングされた像だけ。」
ということで、この田中さんが、西村さんが亡くなったあとに遺品整理に
関わったとのことで、「本の雑誌」に掲載されている西村さんの室内写真も
田中さんが撮影したものでした。
こういう編集者がいてくれて、追悼号もできるということですね。