やっと戻ってきていた

 家を出ていって迷子になって戻れなくなったペットの話ではありませんです。

図書館の本の話となります。当方はほとんど人気のある本を、図書館から借りる

ことはなくて、いつもは新刊棚にささっているのを抜いて手続きをしています。

たまに、借りようと思ったほんが借り出されていて、検索したら何人もの方が

予約してお待ちのときには、じっと戻ってきて、予約なしに借りることができる

まで待つことになります。

 基本は予約はしないことになりますので、あらっあと二人であったのに、また

他の人が加わっているなんてことになります。

 本日に図書館の蔵書検索をかけてみましたら、いつも赤いマークで貸出中と

あるのが、消えていて、貸出し可能となっていました。これは借りなくてはと

早速に足を運ぶことにです。

 そのようにして、何ヶ月か待って、やっと手にすることができたのは、次の作品

でありました。

 今年亡くなった西村賢太さんの未完の遺作であります。

 未完であるのに、普通に刊行されるというのが、西村さんの人気の高さであり

ますね。当方は、図書館から借りたり、文庫になったのを機に買って読んだりで、

そこそこ西村さんの世界にはなじんでいるのですが、この新刊もでたらすぐに購入

ということにはなりませんでした。

 そういえば、この作品は「文學界」の連載でありましたが、西村さんの逝去で

最終掲載となった号を、仙台文学館を訪ねた時に、そこで読んだことを思いだす

ことにです。

 この「雨滴は続く」は、貫多が同人誌に発表した作品が「文學界」に転載され

るというところからスタートするようですが、その同人誌については拙ブログで

も、どこかで触れているように思いますが、西村さんは、次のように書いていま

す。

「このとき九十歳になる主宰者は、元は江戸川辺のペンキ職人であり、その傍ら

若い頃より同人雑誌活動を継続し、昭和三十年代には『新日本文学』にも創作を

発表して、今も尚、自身の雑誌に毎号短編を書き続けている人物だった。」

 作中には主宰者の名前をでてくるのかどうかですが、雑誌は「煉炭」となって

いました。検索したらわかりますようにん、雑誌は「煉瓦」で、主宰は九鬼さん

という方になります。

 「新日本文学会」といえば、小沢信男さんが事務局長をやっておられたことも

あって、その昔に、西村賢太という作家は、新日本文学の会員であった九鬼さん

がやっておられた「煉瓦」という同人誌に参加していたのだそうですが、と小沢

さんとの雑談のときに話題にしたことがありました。

 もちろん、九鬼さんについてはご存知でしたが、西村賢太さんのものについて

はどうであったろうかです。

 この週末は、楽しみができたことであります。