朔日の本

 朔日というのは、それまでの日々にリセットをかけるような気分になること

です。これはお正月に限らずでありまして、毎月、朔日餅というのを販売して

いるおめでたいお菓子やさんもありますが、本日の当方は朔日本であります。

図書館から借りた本にあわせて、安価で確保した本が届いておりまして、読む

ことができるのかどうかわからないのですが、なんとなく賑やかになりまし

て、うれしいことです。

 図書館から借りたのは次のものでありました。

 アイルランド文学者であります栩木さんによるエッセイ集。新聞などに寄せた

ものでありまして、たぶん読みやすいだろうと、目次を見てそう思いました。

とはいってもアイルランドについては、まるでわかってないのですから、これを

読んで、すこしはお勉強できぬかです。

 この本にはIRAというのがすこし登場するのですが、その昔に刑事コロンボ

見ていたら、これの活動を支援するためにチャリティをして、その益金で武器を

購入してIRAに送るというのがありました。そのすこし前くらいだったのか、

IRAが盛んに仕掛けている頃があって、どういう背景なのだろうと不思議に思った

ものです。今回の英国のECからの離脱でも、北アイルランドの存在が話題になり

ましたですね。

 これの著者が翻訳したチャトウィンの作品もいまだに読むことができていない

のですが、それにむけて勢いをつけることにならないかな。

 もう一冊は、時節柄のようなものになってしまいました。

 元々は、「同志少女よ、敵を撃て」を読んだあとに、この方のものを手にし

ましょうと思っていたのですが、それができずに、気がついたら今回の事態に

なりです。

 この本の巻頭に、アレクシエーヴィチのノーベル賞受賞講演が沼野恭子さんの

翻訳で収録されていて、まずはこれを読んでおきましょう。これの結語は、この

ようになっていました。

「私には家が三つあります。私のベラルーシの大地は父の故郷で、私がこれまで

住んできたところ。ウクライナは母の故郷で、私が生まれたところ。そして偉大

なロシア文化なくしては今ある自分を想像することはできません。どれもみな私

には愛おしい家です。でも今のこの時代、愛について語るのはなかなか難しいこ

とのようです。」

 この講演は2015年でしょうか。それから7年、アレクシエーヴィチはドイツに

亡命中でありまして、ベラルーシに住むことはできなくなっているとのことです。