あわてて図書館へ

 先日に「明朝体活字」を話題にしましたが、山鼻村(明治時代にあった

札幌郡の村名ですね。山鼻は札幌市の現役地名になっています)さんから

柳亭種彦の著作をウィーンで刊行されたと引用したことに関して、要確認と

ご指摘をいただいて、それ確認するために、返却したばかりの小宮山博史

さんの「明朝体活字」を確認するために図書館へと向かうことになりです。

 先日の引用を間違えていたり、必要なところをカットしていたりもする

ことから、再度そのところを、ひいてみることにします。

「1847(弘化四)年、柳亭種彦の著作が突然ウィーンで刊行されました。

もちろん日本語での刊行です。印刷刊行はウィーン王立印刷局です。」

 ここまでのところでは、当方は「1874(弘化四)年」と記しておりました

ので、これは4と7が入れ違っておりました。

 この時にウィーンで刊行された本についてですが、前回省略したところに

次のようにありました。

「東洋学者アウグスト・フィッツマイヤーの序文でぇあ、原著は著者柳亭

種彦、画は歌川豊国、『文政十八年(文政は十三年までで、十八年はありませ

ん)に江戸で刊行された木版印刷物で、ウィーン王立印刷局が収蔵しているも

のを、『beweglichen Typen gedruckt(直訳すれば可動活字印刷です。英語の

Movable Type」に相当します)』で覆刻したとあります。

 王立印刷局収蔵のこの本は、文政四(1821)年江戸の永寿堂が刊行した柳亭

種彦の『浮世形六枚屏風』で、種彦の代表作の一つとされています。」

 この部分の引用省略したものですから、出版年を誤記していたこととあわせ

てなんだろうこれはとなりましたです。どうせ誰も見ていないやとやっつけで

引用してはいけないと反省であります。

 ウィーン王立印刷局は、「柳亭種彦を復刻刊行した二十九年後の1976(明治9)

年に自局が所有する120言語の文字活字を収録した総合見本帳を刊行」するのだ

そうです。

 この見本帳は横浜市歴史博物館に収蔵されているのだそうですが、「この中に

「浮世形六枚屏風」の覆刻のために作られた活字の全字種と思われるものが

『JAPANISCH』として載っています。」とありまして、この字種の図版も掲載

されていまして、眼福であります。

明朝体活字 その起源と形成

明朝体活字 その起源と形成

  • 作者:小宮山 博史
  • 発売日: 2020/09/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  図書館から戻りましたら、「本の雑誌」1月号が届いておりまして、正木香子

さんが「私のベスト3」の一冊に、この「明朝体活字」をあげています。

せっかくですので、そのコメントを引用することにです。

「あえていつもと同じように『先生』と呼ばせていただきたい。小宮山先生が

集大成となる本を出されたことは、日本語の活字書体研究にとって今年一番の

ニュースだったのではないか。講演を聞いたことは何度もあったが、膨大な史料

い改めて圧倒された。折にふれて本書を頼ることになりそうです。」

 本来でありましたら、パラパラとページをめくるような本ではないのですね。

本の雑誌451号2021年1月号

本の雑誌451号2021年1月号

  • 発売日: 2020/12/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)