「ちくま」11月号が届いていました。お楽しみは金井美恵子さんの「重箱の
すみから」でありますが、今回は「予言について」その2回目であります。
「予言について」は、「ノスタルダムスの大予言」の著者である五島勉さん
が、今年七月に亡くなった後に、2013年にこの本を「昭和史再訪」という
シリーズ記事で取り上げた朝日新聞の切り抜きを出してきて話題とするとこ
ろから始まりました。
そして、この記事にコメントを寄せている「ノストラダムス研究室主宰」と
いう方の発言に疑問を寄せています。
「びっくりしたのはその歴史意識の過度な子供っぽさである。『七十年代の
日本は科学の進歩と迷信がまだ渾然一体の時代で、ノストラダムスの誤った
情報をうのみにするしか』なかったが、今は『インターネットで簡単に事実を
調べることができ』るのだから『予言が人心を惑わせるようなことは起きない
ように思』うと発言しているのだが、四十年前に九歳の少年だった頃と、ほとん
ど変化していなかのような思考ぶり、と思わざるを得ないところだ。」
この引用部分は、書き出しとなる10月号に掲載のところなのですが、「ノスタ
ルダムスの大予言」が出版された1973年あたりの時代の雰囲気はどうであった
のかと話は続いていきます。
この本が大ベストセラーとなった時は、学生でありましたが、この本のことを
話題にした記憶はなしですね。ノストラダムスは渡辺一夫さんの本にも登場する
ので、こういう売れ方をするのかと思った記憶はあるのですが。
それにしても、とんでも本というか、ほとんど根拠をもたない言説は、最近の
ほうが力を持っているようでして、権力を持つ人がそれはフェイクといえば、
それに肯かなくては生きにくいようになっているようであります。
これから50年も後になって、いまの時代はどのようにコメントされるのであり
ましょう。
ということで、金井美恵子さんの「予言について」は、来月に続き、なかなか
読むのに苦労をしているのでありました。