満月のお誕生日

 本日はスーパームーンといわれる特別な満月の日となります。夕方に

レーニングに行くとき17時を過ぎた頃に、まだ低いところにオレンジ色の

月がでていました。下手な写真では、この美しさは切り取ることはできない

ので、眼に焼き付けることにです。

 そういえば、先日手にした本の奥付の日付で気づきましたが、本日は

山田稔(作家)のお誕生日でありました。本日でめでたく94歳になったの

ですね。おめでとうございます。 

 今月に編集工房ノアから刊行となった「もういいか」は、誕生日を祝う

一冊ということになりです。

「もういいか」 山田稔 編集工房ノア

 これに収録された「雑々閑話」は書き下ろしですが、自作小説紹介の趣が

ありまして、これを読みますと、この小説は読んでみなくてはいけないぞと思う

ことです。(たぶん、一度くらいは読んでいるのですが、すっかり忘れている

ことで)

「『文藝』(私の作品の載りはじめたころは『文芸』)には、・・連作『コーマル

タン界隈』を載せてもらった。・・

 その連作の第一回は1980年七月、最終回の『エヴァ』の載ったのは翌81年

の五月号で、何度か文芸時評で褒められ、とくに篠田一士に激賞された。その

後、九月に単行本として河出書房新社から刊行された。表紙装画は野見山暁

治。そして翌八十二年三月に芸術選奨の小説部門で文部大臣賞を受賞する

ことになる。」

 まずは、「コーマルタン界隈」をひっぱり出してこなくてはいけないな。それと

篠田一士さんの「時評集」もであります。篠田さんのほうは、すぐにでてくるとこ

にありました。

 1988年7月に小沢書店から刊行となった「創造の現場から」です。これは

篠田さんが「毎日新聞」で1979年から86年まで担当していた「文芸時評」を

まとめたもので、二段組で526ページのボリューム。

篠田さんが取り上げている山田さんの作品は「コーマルタン界隈」「白鳥たち

の夜」「懇親」でありますが、なかでも連作となる「コーマルタン界隈」は多くの

紙面が割かれています。

 そのなかから、最後のくだりを紹介です。

山田稔氏の『コーマルタン界隈』は、・・パリの日本人を、いまなお悩ましつづ

けている、昔ながらの異邦性に新しい照明をあてながら、かっての問題小説家

たちには及びもつかなかった、小味の利いた精細な調理法で、パリに住む、

さまざまな男女の日々を物語ることによって、そこに仮の宿りをする『私』の内面

になりつづける孤独の断続音をあざやかにきかせてくれるのである。

忘れがたい連作小説、いや、忘れてはならない作品である。」 昭和56年5月

 このように評したうえで、この連作を「今年の収穫 五点」にあげています。

「手っとり早く言ってしまえば、今年の収穫というべき問題の小説五点を挙げる

ならば、井上靖『本覚坊遺文』、安岡章太郎『流離譚』、井上光晴『憑かれた

人』、山田稔『コーマルタン界隈』、それに、井上ひさし吉里吉里人』という

ことになりそうだ。」

 山田稔さんは、当時これを見て喜んだでありましょうね。

 「コーマルタン界隈」を読まなくてはです。