これからでる本

 最近はさっぽり手にすることはないが、その昔には「これから出る本」と

いう情報誌があったよなと思って、検索をかけてみましたら、今もまだ発行

が継続されていましたか。文庫本以外の新刊は、あまり購入することはなく

なっているし、このような情報誌にも縁遠くなっているかなです。

 新刊のチェックは、出版社のPR誌(これには他社の広告もあり)、新聞の

広告、そしてブログも含めてのネットでありますね。8月に出る予定の本で

これは買うだろうねと思ったのは、新潮社「波」に掲載のものです。

 ちなみに新潮社「波」は、いつも編輯後記を楽しみにしているのですが、

8月号も快調でありまして、このコラムはほんといつもしゃれていて、当方

の好みであります。

 今月の書き出しのところは、次のようになりです。

「『村上RADIO』のステイホームスペシャルでペギー・リーの『We'll Meet

Again』が流され、おお、『博士の異常な愛情』のと久しぶりにあの映画を

思いだしました。

 というのは半分嘘で、その数週間前、エリザベス情報がコロナ禍にある

英国民へ述べたメッセージも『We'll  Meet Again』と締め括られて、<第二

次世界大戦中の国民的愛唱歌を引用した>と話題になった時、『ドクター・

ストレンジラブじゃん!』とすでに興奮していたのです。」

 上に引用したのは、全体の四分の一ほどですが、これだけでもあれこれと

話題を提供してくれることになりです。村上Radioはやっぱり編集者はみな

聞いているのかとか、ペギー・リーとは渋いなとか、博士の異常な愛情は、

めっちゃタイトルが長いのだよな。正式にはなんていうのだったっけなど

などです。

 当方は村上Radioは毎回パソコンに取り込んでいるのですが、そのわりに

ながら聞きで、ペギー・リーのところは耳に残っていませんでした。この

後記を見たのを機にまたきき直してみることにしますわ。

 それで8月の新刊という「波」のページを見た時に、次のものを見つけるこ

とになりです。(7月号「波」の8月刊行予定のなかに、すでに掲載されたい

たのですが、そのときは気づきませんでした。)

心は孤独な狩人

心は孤独な狩人

 

 そのうちちゃんとしたリンクが用意されるでしょうが、いまのところは

書影のないアマゾンへのリンクです。

 いよいよというか、やっとこさでこの小説が入手しやすくなりますか。

上のリンクには訳者の表示はありませんが、翻訳は村上春樹さんであります。

 「波」8月号の新刊案内では、次のように紹介されています。

 「誰もが孤独の部屋の中から、報われない愛の行き場を探している。

 1930年代末、アメリカ南部の町。差別と貧困の中で、ひとりの聾唖の男が

 少女らと出会い、人々の苦しみを静かに受けとめてゆく。長らく絶版と

 なっていた名作が、村上春樹の新訳でよみがえる!」

 その昔には、普通に文庫本で流通していたのですが、買いのがしたのでしょ

うね。読みたいと思ったときには、すでに高額商品になっていたようです。

 数年前に新潮文庫で「村上柴田翻訳堂」というシリーズがでたとき、これの

村上新訳による作品は「心は孤独な狩人」であろうと、当方は思ったのであり

ますね。拙ブログでもそのようなことを記したことがありましたが、それは

残念にも外れでありました。(隠し玉であったのは、「卵を産めない郭公」

でありました。)

vzf12576.hatenablog.com

心は孤独な狩人 (新潮文庫)

心は孤独な狩人 (新潮文庫)

 

 村上柴田翻訳堂から4年を経過して、当方が期待していた「心は孤独な狩人」

の村上新訳がめでたくあがって、刊行となるわけです。翻訳堂は文庫版でしたの

で価格は抑えられていましたが、今回はそこそこの値段であります。

 それでも、長い時間待っていたとすれば、それも高いものではないか。

申し訳ないが、村上さんの久しぶりの新作には目もくれないのに、翻訳作品に

喝采をあげるというのは如何なものでありましょう。