いよいよ四月 

 年によっては三月末から新年度のスタートですといってアナウンスするNHKも、今年
はカレンダーのまわりがよろしいせいか、すくなくとも今週いっぱいは朝ドラも昨年
からのものをやっています。三月末に新年度の番組がスタートするというのは、やは
り違和感がありまして、これがよろしですね。
 出版各社のPR雑誌が、ほぼ手元に届きましたが、このなかで目にとまったものにつ
いてであります。
 それは新潮社の「波」4月号にありました。
新潮文庫の海外文学新シリーズが刊行開始! 村上柴田翻訳堂 全10冊 
 いつまでも輝きを失わないエヴァーグリーンな作品立ち。」
 新訳・復刊からなる新シリーズですが、その一回目となるのは、次の二冊です。

結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

僕の名はアラム (新潮文庫)

僕の名はアラム (新潮文庫)

 村上春樹さんが翻訳するマッカラーズのものと、柴田さんのサローヤンですか。
マッカラーズといえば、「心は孤独な狩人」 (新潮文庫)が古書でとんでもない値段に
なっているので、これの復刊を希望されている人もいるでしょうが、それは今回発表
された予定にはありません。(案外に隠し球となっているかもしれません。11月に新刊
があると案内されていて、それのタイトルはあきらかになっていませんから。)
 柴田さんによるサローヤンの翻訳はタイトルが「僕の名はアラム」となっています。
これまでは三浦朱門さんと清水俊二さんによる翻訳がありますが、どちらも「我が名は
アラム」です。( 原題は「My Name is Aram」です。) 以前も記しておりますが、当方は学生の頃に角川文庫「我が名はアラム」を手にして、
これに収録された小説を繰り返し読んだことがありました。これまでは三浦朱門さんの
翻訳で読んできたのですが、今回の新訳はどうでありましょう。三浦訳になじんでいる
せいもあって、清水訳は購入はしたものの読むことができずでありました。
 この小説を最初に読んだころには、アメリカのアルメニア移民というのがどういうこ
とであるのか、わかっておりませんでしたが、その昔とくらべると、もうすこし理解が
かまりそうにも思います。二十歳を前にして読んだ小説を、この歳になって読み返す
機会を得ることが出来るとは思っていませんでした。