TV番組から学ぶこと

 先日の朝TVを見ていたら、トラック旅で福島の本宮市というところで映画

劇場に立ち寄って、古い映画館の施設を紹介し、その主人の話を聞くという

シーンがありました。

 それこそ、いまから30年くらい前までは、日本中のどこにも見られた街の

映画館でありますが、いまはほとんど絶滅でありまして、昔の雰囲気を伝える

ところはほんといくつもないとのことであります。

 このTVを見ているときに、これはどこかで見たぞといえば、もっともらしい

のですが、もちろんそんなことはなくて、そのあとで、以下の本を手にして、

これがあの映画館主であるかと思ったのでした。

独居老人スタイル (ちくま文庫)

独居老人スタイル (ちくま文庫)

 

  さすがに都築響一さんでありますね。先月にちくま文庫になった本でとっく

に取り上げていました。元版は2013年の筑摩書房刊でありまして、それは

ちくまのWEBマガジンに連載したものをまとめたものとのことです。

 文庫版のあとがきで、都築さんは本宮劇場主のことを、次のように記してい

ます。

「本宮映画劇場の田村修司さんも、テレビや新聞などメディアへの出演が増え、

築百年を超えた劇場とともに、いまや地元の有名人である。」

 この都築さんについて書かれていることで、一番小生が愉快に思ったのは、

次のところ。

「『実はこんなのも持ってんだ』と、田村さんが奥から雑誌の合本の束を出して

きてくれた。『成人映画』ーかってピンク映画館の窓口で販売されていた、いま

ではほとんど目にする機会のない、非常に貴重なバックナンバーだ。」

 このあとには、田村さんのピンク映画に寄せる思い入れが語られるのですが、

それがまたいいのでありますよ。

 ちなみにこの「独居老人のスタイル」の担当編集者についてであります。

連載から単行本、そして文庫になるにあたっていろいろとあったということか

ら次のように書かれています。

「いろいろあったといえば、そもそも『独居老人スタイル』単行本の担当編集者

だった筑摩書房の長嶋美穂子さんだって、最初に知り合ったころは打ち合わせに

大きなカバンを持ってきたりして、なにそれ?と聞いたら、『趣味で浪曲の三味線

やってるんです』とか言っていたのが、『珍世界紀行』から『東京右半分』まで長い

付き合いだった僕を捨て(笑)、いつの間にか『浪曲師・玉川奈々福』になってし

まったし。」

 都築さんの筑摩での編集担当は長嶋さんであったのか。

 そういえば、先日の「トラック旅」で本宮映画館内で撮影した画面には、背景に

玉川奈々福というサインが写り込んでいたのか。奈々福さんは、この小屋で実演を

やったのでありますね。

 トラック旅、本宮映画館、独居老人スタイル、都築響一玉川奈々福とつながる

お話でありました。