「図書」と「波」

 本日の午前に庭仕事をしているときに、郵便屋さんが「図書」と「波」を

届けてくれました。どうもありがとうです。

 早速になかを確認することになりです。「図書」で気になるのは、加藤典

洋さんのコラムですが、うれしいことに今月は健在であります。このコラムの

連載が続いているうちは、亡くなったことは実感されないことです。

 「波」には小林信彦さんの書評が掲載されていました。取り上げている本

泉麻人さんの「冗談音楽の怪人・三木鶏郎」であります。

冗談音楽の怪人・三木鶏郎 :ラジオとCMソングの戦後史 (新潮選書)

冗談音楽の怪人・三木鶏郎 :ラジオとCMソングの戦後史 (新潮選書)

 

  いまから70年ほど前の戦後まもなくから活躍した才人について泉さんが

取り上げていますが、そろそろ70歳という当方にとっては、ものごごろついた

頃にラジオから流れる音楽を作った人であります。もちろん音楽にとどまらず、

後に著名となるスタッフをたくさん抱えていて、ラジオ、テレビ業界をリードし

た制作グループです。

 小林信彦さんは、このグループのメンバーたちととても親しい関係にあり

ましたが、メンバーにはならずでした。

 この書評の書き出しには、次のようにあります。

三木鶏郎の仕事について、簡単な一代記と共に二百枚ぐらい書いておけれ

ばな、というのが、私たち昭和ヒトケタ人種の願いであった。あまり、長い文章

は鶏郎グループ向きではない。二百枚ぐらいがち丁度いい。

 私など丁度よかった年代ではある。しかし、そう言いながら実行できなかっ

たのは、あまりに近いところにいたから というせいもある。」

 小林さんは、「あまりに近い」のでありますね。この書評の最後には「著者の

興味がCMに向いているからであろう」と終わっているのですが、この書き方を

見ると、小林さんが書くとしたら、戦後まもなくのことが軸となったのでありま

しょう。

 今回の「波」の編集後記は、小林信彦さんに言及しています。

「小林さんは脳梗塞で倒れてからの日々を『生還』(文藝春秋)という本に纏め

ています。いかにも一筋縄ではいかない作家らしい闘病記。作中、次女の方が

介護に、仕事の交渉にと活躍されます。実は『文藝春秋と同じクラスの出版社

に在籍する彼女』とは長い知合いなのですが」とありまして、ここで小林さんの

次女さんが新潮社に勤務していることがあかされています。

 この編集後記によりますと、「生還」で描かれている次女さんは、「本人の口

調も表情も、動作さえ彷彿させる」ということですから、次女さんの登場する

部分だけ、また読んでみましょうかな。

生還

生還