ガンコと難解 2

 橋本治さんは小林信彦さんの書くものは、読者に難解であるというのです

が、小林さんは橋本治さんのことをガンコと表現するのですが、それは次の

ように書かれています。

 小林さんの「本は寝ころんで」の「橋本治の仕事」からです。

橋本治の時評は<目の見えすぎる人の不幸>を感じさせる。

 だって、この時評(ナインティーズに収録のもの)は小学館から出ている

SAPIO」にのったのである。こんな本質的なことをいっても「SAPIO」の大半

の読者にはわからないのではないか。

『どうだっていいよ、いま、コレを言っておきたいんだから』

と、(おそらく)橋本治は開き直っている。

 とにかく、橋本治はガンコである。ガンコというと下に老人とつきそうだが、

この人は<ガンコな少年>である。」

 1991年の週刊文春コラムでありまして、これがこの先に「本音を申せば」に

つながっていくのでありますが、この時の小林さんは59歳で、橋本さんは43歳

でありますか。

 この時代の橋本さんは「SAPIO」にコラムを書いていたのですね。この雑誌は

ほとんど手にしたことはないはずで、小林よしのりさんの「ゴーマニズム宣言

が連載されていたと思いますが、小林よしのりさんの世界と、橋本治さんの世界

はずいぶん違いますよね。

 このような過程を経て、橋本さんは、早すぎる晩年の当方も知る橋本さんに

なったのでありますか。それにしても、当方ももうすこし早くに橋本さんに

親しんでいればよかったことと思うことであります。