読売新聞 読書欄に

 本日に外出先で読売新聞を手にすることができました。(日曜日にでかけることが
多いので、日曜日の新聞に読書欄があるのは、やはりいいことで)
 読書欄をチェックしましたら、松山巌さんの「本を読む」を宮下志朗さんが取りあ
げていました。

 「本を読む」は、松山巌さんの書評集であります。書評をかいている方は多いです
が、それだけで一冊としている人といえば、そんなにいないのではないかな。すぐに
思いつく人としては、池澤夏樹さんとか鶴見俊輔さん、丸谷才一さんなどがいますが、
この本のあとがきに眼を通しますと、松山巌さんも書評に関しては、ずいぶんと
キャリアとなっていることがわかります。
 松山さんの書評家デビューは西井一夫さんが編集長をしていた時代の「カメラ毎日」
だそうです。新聞の読書欄は1987年から三年間つとめた読売新聞が最初で、読売では、
断続的に三回つとめ、その間には毎日、朝日の書評委員もつとめていたとあります。
 読売新聞はあまりフォローしていなかったのですが、朝日に寄稿したものを目次で
チェックしますと、当方の関心のあるものも担当していましたので、これは間違いな
く見ていますね。
 この本のあとがきから引用です。
「私はこの三紙で委員となったが、思い出すのは委員会の後に、気の合った委員たち
が場所を変えて酒を飲み交わす二次会のことだ。その席を通じて実に多くの友人や知
己を得た。
 ただ、出会った人々を語り始めると切りがないので、既に鬼籍に入った方たちで強
く記憶に残る諸先輩の名前だけでも挙げておきたい。読売新聞では文芸評論家の川村
二郎、作家の日野啓三、哲学者の木田元、フランス文学者の出口裕弘の各氏、そして
毎日新聞で屋台での二次会でも共に語り合った須賀敦子と高田宏のお二人、更に朝日
新聞ではテレビディレクターで作家でもあった久世光彦氏である。この方たちのおか
げで私の人生は深くなり、思いもかけぬ経験も、難しい仕事もこなせたと思ってい
る。」
 「人生が深くなり、思いもかけぬ経験をし、難しい仕事もこなせた」というくだり
はいいですね。当方なども本との付き合いでそういうことがあったと思いたいことで
す。
 880ページにも及ぶ書評集ですが、まずはあとがきをじっくりと読んで、それから
目次、書名索引を見て、気になった本のページをご覧になるとよろしですね。
もちろん、本日の宮下さんの書評で取り上げられている松山さんの書評から見ていく
のもありですね。
 一番の問題は、この本がほとんど大きな街の大きな書店でなくては手にすることが
できないことであります。それにしても、西田書店はすごいことをやってくれる。
西田書店は、松山巌さん、井上ひさしさん、井田真木子さんによる「三人よれば楽し
い読書」という本も同時に刊行したとありました。 こんな三人で読書鼎談をしているのかと、検索をしてみましたら、これは今はなき
「本の話」(文藝春秋社のPR雑誌)に掲載されたものとのこと。「本の話」は、まだ
捨てずにとってあるはずで、何回分かは、すぐにでも見つからないかな。