四月の終わりに

 このところすこし低調でありまして、本のページを稼ぐことができておりません。
なんとか週に二冊のペースでいきたいと思っているのですが、大ブレーキがかかって
います。これはいかんことで。
 出版社のPR誌が届いているのですが、「ちくま」「図書」「一冊の本」と手にして
みて、今月はこの本を買いましょうと思うものがなしであります。こういう状態の時に
見落としをするのでありますね。調子がよろしいときには、むこうから飛び込んでくる
ものが、体調が下がっていると、手に触れたものも逃がしてしまうことになりです。
 PR誌から何か話題をいただこうと、なんどか試みて、やっとこさ本日の話題でありま
す。「ちくま」5月号に掲載されている池上冬樹さんの文章となります。
 ここで池上さんが取り上げているのはちくま文庫にはいった結城昌治さんの小説であ
ります。その書き出しの部分を引用です。
ちくま文庫から結城昌治のミステリが出るとは思わなかった。それも『あるフィルム
の背景』が。新聞の書評にも書いたことだが、結城昌治吉田健一丸谷才一、さらに
は海外文学と日本文学を総合的に見据えた文芸評論家篠田一士などに愛された。」
 こういう文脈で篠田一士さんの名前を見出すとは思ってもいませんでした。当方に
とって四月とは、長谷川四郎さん、篠田一士さんというお二人の敬愛する文学者が亡く
なった月でありました。四郎さんについては「山猫忌」ということで、話題としている
のですが、篠田さんのほうは、ここのところまるで話題になっておりませんでした。
篠田さんが亡くなったのは平成元年4月13日ですから、すでに30年が経過です。
( ずいぶんと昔には祥月命日にあわせて話題としていたことがありましたです。
  http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080413 )
 それで「結城昌治さんの作品を篠田一士が愛した」というのは、どのあたりに書か
れているものでありましょう。当方は篠田さんが結城さんの作品に言及しているのが
思い当たらないことで、これはどこかにあるのでしょうから、ちょっとあたってみる
ことにいたしましょう。めでたく見つかりましたら、これを話題とすることができる
かもしれませんです。