本日は大人買い

 「本の雑誌」の企画で、三万円で何を購入するかというものがありますが、ほんと
三万円もって好きな本が買えれば、どんなによろしいかであります。
 その昔には、誕生日のお祝いにといって図書券をもらうことがあって、これが何より
もうれしかったことであります。プレゼントしてくれたのは父親でありまして、こちら
が50代にかかったころのことです。子どもたちの教育費が負担となっているので、本を
買うのも思うに任せないだろうからという主旨であったようです。それはありがたく
時間をかけてつかわせていただきましたです。
 二月は当方の誕生月でありまして、すこし我慢をしていた本を買いにいきましょうと
思っていましたが、体調不良や大雪のために、動くことができず、やっとこさで本日に
実現です。
 とはいっても、予算は年金生活者でありますので、ぐっと控えめではありますが、
一日つかう予算としては、この一年で一番となりです。本日は新刊5冊に文庫古本が2冊
の収穫でしたが、新刊は以前から、拙ブログで話題にしたものばかりですが、文庫には
予想外のものがあって、こちらが思いがけなかったので、まずはそちらから紹介です。
 この作品については、以前に何度か話題にしておりました。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20150713 )

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

 表紙写真は、本日に入手した角川文庫のものとなりです。1970(昭和45)年5月にで
たものですが、昨日のタイトルではありませんが、見てから読むか、読んでから見るか
という角川商法時代の出版物ですが、映画が地味であったせいもあって、たぶんこの文
庫本はあまり売れなかったでしょう。
 それから40年以上経過して、これが白水Uブックスになったことには、本当に驚いた
ことです。どうせであれば、角川文庫を入手したいと思っていたのですが、これはなか
なか見つからずでありました。
 本日、札幌中心街に最近オープンした書肆吉成さんへと立ち寄って、文庫本の棚をな
がめておりましたら、そこにこれがありました。これは長年探していたものであります
ので、ほんとうれしいこと。(もちろん、ただみたいな値段で購入です。)
 帰りの車中で、この小説を読んでおりましたが、巻末の常盤新平さんの解説もよろし
であります。(白水Uブックスにも、この解説は再録されているのでしょうかね。)
 角川文庫に寄せた常盤新平さんの解説をつまんで紹介です。
「ホレス・マッコイの生涯は、多くの二流、三流の作家がそうであるように、不明の
部分が多い。作品によって、彼を知るしかないのだが、マッコイの長篇六作のうちで
も、やはり『廃馬』がいちばんすぐれているように思う。・・マッコイは処女作でたま
たま傑作を書いたという気がするのである。
 『廃馬』は昨年(1969年)映画化され、アカデミー賞にノミネートされギグ・ヤング
アカデミー賞助演男優賞を得た。・・・三十年以上も前の忘れられた小説を映画化す
る『酔狂』といおうか、『狂気の沙汰』といおうか、とにかく映画スタッフの勇気に感
心したのである。というのも、私にとっては、忘れがたい小説であったからにほかなら
ない。
 映画化されたということで、角川春樹氏の好意により、私は翻訳する機会を得たのだ
が、この『彼らは廃馬を撃つ』を私に教えてくれたのは、中田耕治氏である。もう十五
年も昔のことだ。」