先日に購入した三橋順子さんの「新宿 性なる街の歴史地理」を読み始めました。
いまだ頭の50ページほどを読んだだけでありますが、期待にたがわぬ面白さであります。
まずは新宿の遊郭地域について過去の地図とか航空写真から、その範囲などを特定
する作業からはじまるのですが、このようにいくつかの地図で丁寧な説明がありまし
たら、新宿の地理に不案内な(ほとんどがそうでありましょう。)人にも、すこしは
頭に入りやすくなるでしょう。
そうしたのをおさえた上で、「新宿遊郭の西側の塀跡」のところに新宿区は説明板
を立ててほしいというところには共感であります。これは新宿区に限らずでありまし
て、日本全国のある程度の規模の街には、ほぼ遊郭といわれたところはありまして、
それの記憶をどのように残していくかは、どこの町にとっても、課題となっているは
ずであります。
当方の町にも遊郭はありましたが、明治に形成された地区は大火によって消失し、
その後,別のところに移転したのですが、その通りはいまは見る影もなく廃れてし
まっているのですが、その通りの幅の広さの意味が、この本を読んでわかりました。
その昔の小説(戦前から戦後間もなくの)などを読んでも、こうした当時の風俗な
りを知らなくては、ぴんとこないことであります。検索をかけましたら、なんとなく
わかったようなことが書かれているのですが、ネットにあるのは、どうも若い人の
知ったかぶりのようであります。
たしか伊藤整の「若い詩人の肖像」かを読んだときに、蕎麦屋へ女性を誘うのは
下心があってというようなくだりがあって、どうして女性を誘ってそばを食べちゃ
いけないのかと思いましたですね。これは蕎麦屋の二階で検索してもらうとわかる
のですが、三橋さんの本には登場しないかもしれませんが、たしか井上章一さんの
「愛の空間」を読んだ時にすとんと落ちたような気がします。
そういえば、三橋順子さんは井上章一さんが主宰する「関西性欲研究会」の
メンバーであるとありました。この研究会がまとめた「性の用語集」を購入してお
りました。性欲研究会ではなく、その上に関西とのっけるのが、いかにも関西人が
助平であるように思わせて、気に入らないとどなたが書いていて、そういう考えも
あるかと、そのまま積まれることになってしました。
ということで、その本の時に三橋さんに注目していれば、先見の明があったと
いえるのですが、もちろんそんなことはありませんでした。
三橋さんの本、まだこの先250ページほどありますので、当分楽しむことができ
そうであります。
愛の空間 男と女はどこで結ばれてきたのか (角川ソフィア文庫)
- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
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