八木義徳さんの小説の舞台となっているK市であります。
「歓楽街のはずれにある小料理屋」で、しかしてその実態はでありますが、この
ようなストリーのなかで「小料理屋」へいくかというと、目的は酒を飲むことが目的
ではなくなりますね。
なにかの小説(伊藤整の「若い詩人の肖像」だったろうか。)を読んだ時に、そば
屋に行くというのは、それも「小料理屋」に似たような意味に使われているようで、
さっぱり理解できなかったことがあります。たしかそうであったよなと検索をかけて
みましたら、井上章一さんの「愛の空間」でも紹介されているとありました。
伊藤整の小説を読んで釈然としなかったことが、「愛の空間」を読んで了解したと
うに思います。 (「愛の空間」を読んだのですが、いまは確認できず。)
愛の空間 男と女はどこで結ばれてきたのか (角川ソフィア文庫)
- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2015/10/24
- メディア: 文庫
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昨日に図書館から借りてきた池内紀さんの「東海道ふたり旅」をつまみ読み
しておりましたら、品川をでてすぐが川崎宿となりです。八木さんの小説のK市で
ありますね。
「昭和40年代、トルコ、バー、ピンクサロン、キャバレー。盛り場といわれる界隈に
は、四本柱のようにして揃っていた。先の三つは風俗産業の取り締まりに応じて
形態を変えたが、キャバレーに警察の手が入ることは少なかったのではあるまい
か。比較的に穏当な業界とみなされていたわけだ。穏当を欠くことがあっても、
それはキャバレー事態ではなく、店を出てからの所行であって、個人のことがら
に類する。」
池内さんはかっての街道筋を歩いて川崎宿で、今は廃業したキャバレーの建
物を目にして、「場所柄は江戸のころでいうと『宿外れ』にあたり、宿場職人の
目の届かないあたりに世をはばかる商売が栄えた。意味深い土地の記憶の
一つともいえる。」と書いています。
日本全国のあちこちに、こうした「意味深い土地の記憶」はあるのですね。