真夏のような関西から戻って、本日は野暮用をこなす一日となりました。本日の
最高気温は18.3度で、最低はいまのところ14度でありまして、気温はまずま
ずなのですが、身体がやっと関西の暑さに慣れてきたところでありまして、そのせい
もあって、本日はうんと寒くかんじます。まだ、ストーブをつけるのは早いですね。
今回の旅行では、四天王寺古本まつりで三冊、一乗寺恵文社で二冊、上本町
ジュンク堂で四冊の合わせて九冊確保でありました。いろいろと制約が厳しい中で
は上出来ですね。問題は読むのが遅いことでありまして、まずは流してでも読まなく
てはです。
そんなことを思いながらも、旅行に持参したのは新書版「谷崎純一郎全集」23巻
でありました。移動中に読むものとして谷崎の軽い目の読み物、特に関西を舞台と
したものは、登場する地名に親しみを感じるせいもありまして、思わず作品に描かれ
ているところへといってみたくなることです。
「猫と庄造と二人のをんな」からの引用です。
「九月も昨日でおしまひとなって、もうほんたうの秋らしく晴れた朝であったが、
少し寒いくらゐの風が立って、裏の空地に聳えてゐる五六本のポプラーの葉が白く
チラチラ震へてゐる向うに、摩耶山と六甲の頂が見える。人家がもっと建て込んで
いる蘆屋の二階の景色とは、大分様子が違ふのだけれども、リリーはいったいどんな
気持ちで見てゐるのだらうか。」
リリーというのは、主人公が飼っている愛猫の名前でありますね。主人公と愛猫の
関わるシーンは、ほんとエロチックでありまして、これは二人のをんなと愛猫を交え
ての四角関係小説でありますこと。