今月の新刊から

 手元に届いた新潮社「波」11月号に掲載の新刊案内をみていましたら、次のものが
ありました。

 阪田寛夫さんが亡くなったのは2005年3月とありますので、すでに12年も経過したこ
とになりです。阪田さんについては、これまでも娘さんたちの本に描かれているのです
が、今回は何か新しい話題はありますでしょうか。
 著者の内藤啓子さんは、阪田さんの長女でありまして、これまでに妹さんについて
書いた著作がありました。
赤毛のなっちゅん―宝塚を愛し、舞台に生きた妹・大浦みずきに

赤毛のなっちゅん―宝塚を愛し、舞台に生きた妹・大浦みずきに

 新潮社の宣伝コピーは、次のようにありです。
「『今日からおれをオジサンと呼べ』。離婚して新しい妻と子供ができた時に備えた
父から、ある日突然指令が下った。家族の恥部も全て創作のネタにするひねくれ者に、
なぜあんなに優しい詩が書けたのだろう? 娘が綴る童謡「サッちゃん」の作者の
ハチャメチャな人生。」
 この宣伝文にある「ひねくれ者」とか「ハチャメチャな人生」というのには、すこし
違和感を感じないこともないのですが、父親が会社をやめて、物書きとしてやっていく
ことによって、家族の生活も変わらざるを得なかったというのは、わかりますですね。
 阪田寛夫さんが亡くなってまもなくだったでしょうか、もう一人の娘さんである大浦
みずきさんが「婦人公論」に寄せた文章が良かったことを思いだしています。
 これを機に阪田寛夫さんの作品を読むとしたら、何でありましょう。自分の両親とか
おじさんとかを取り上げたものはあるのですが、娘さんたちを描いた小説はあったで
しょうかね。