北海道は広い

 本日は空いている時間に松家さんの「光の犬」を読んでおりました。集中してとい
うよりもとびとびにで、あまり中身の濃い読み方にはなっていません。
夜の時間までにやっとこさで200ページほどになりましたが、あまり先を急がないほう
がよろしいようです。
 それにしても、同じ北海道とはいっても当方の住むところからはるかに遠く、ほとん
どなじみのない町を舞台とする小説で、その町のことを知ることになるとはです。
とはいっても、舞台になっている町は枝留となっていまして、あくまでも北海道東部の
小さな町という設定です。現実には遠軽町とかぶるところが多いのですが、たぶん細部
には、近郊の町の要素も盛り込んでいるのでしょう。
 この作品にでてくる架空の町の地名というか固有名詞では、湧別川というのだけは実
在のものであります。遠軽町というモデルになった町を流れて、オホーツク海へと流れ
込むものです。
 冒頭のところには、次のような一節がありです。
「ふたりで何度か、智脚岩にも登った。遊歩道を歩くあいだも頂上にも、あたりには誰
もいなかったが、一度も手をつなぐことはなかった。ふたりのあいだには三十センチ定
規ほどの距離がつねに保たれていた。頂上に着くと枝留の町をしばらく見渡して、とり
とめのない話をした。玩具のように小さいディーゼル車が駅にはいって止まり、また
出て行くのを見た。湧別川の光る水面は流れているようには見えなかった。音も聞こえ
なかった。」
 主人公が中学2年の時、クラスメートの女性と初めてデートした時のことを描いていま
すが、このくだりは現実の遠軽の風景でありましょう。
 当方は「新潮」に連載されていることすら知りませんでしたので、今回初めて読む
のでありますが、遠軽町では、この小説を地元ゆかりの作品として取り扱われているの
でしょうか。
 すこし時間をかけて楽しみながらゆっくりと読む事といたしましょう。