まとまった夏休みがあるわけでもないのですが、夏の読書となると汗をかきながら
長編小説を読むという発想になってしまいます。
今年の夏の読書のための候補作は、加賀乙彦さんの「雲の都」シリーズでありまして、
まずは、これの確保につとめなくてはいけません。たしか「公共図書館」にはあったの
ですが、とっても借りて貸し出し期限内に読み上げることはできませんので、自分で
さがして確保するしかありません。(まったく残念なことでありますが、こうした時の
アマゾンの中古本検索は強力な味方でありまして、あっというまに確保の手続きは完了
してしまいます。こんなに便利でいいのかです。便利で安いというのは、世の中の仕組
みをだめにしてしまう麻薬のようなものかもしれません。「安楽への全体主義」という
ことをいった思想家がいました。)
拙ブログに、加賀乙彦さんは湯川書房から限定版「雨の庭」をだしている作家として
登場することが多かったのでありますが、当方がなじんでいる加賀作品は長編もので
ありまして、過去には以下のように記したことがありました。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20071011
加賀作品には、自伝的な色彩の強いもの、精神科医としての知見を背景にした社会
病理を描いた作品、カトリシズムの信仰者としてものなどがありますが、なかでも夏と
いうと「陸軍幼年学校」時代のものが、軍国少年の敗戦体験とあわせて、日本の夏に
はふさわしいかもしれません。