最近手にした本 15

 夏休みに入ろうかというのに、ここのところは気温があがらずです。電力不足がいわ
れることからはクーラーがいらないというのは、けっこうなことでありますが、寒い
くらいでありますので、夏物などが売れなくて困っているでしょう。
 本日手にしていたのは、戸板康二さんの「中村雅楽探偵全集」の一冊でありました。
以前に、ブックオフで求めたものでありますが、時間的に余裕があるときなどに開くと
ゆったりとした気分になることうけあいであります。
 戸板康二という方のことをもっぱらに話題とするサイトなどもあったりするのですが、
この方の名前は聞いたことがあるものの、当方にとってもその活躍の実際はわかって
おりませんです。この全集を手にして、はじめて戸板さんが直木賞を受賞した作家でも
あるということを知ったような次第であります。
 この小説の主人公は歌舞伎役者さんであるのですが、戸板さんは演劇批評家でもあった
わけですから、よくご存知の世界を舞台にしていることになります。この作品のよろしい
ところは、とかくスターばかりに目がいく我々に、歌舞伎の世界でのわきの存在の方々の
ありようを教えてくれるところでしょうか。
 作中の人物の発言には次のようにあります。
「竹野先生は、劇評で、いつも脇役のことを書いてくださる、それがうれしいって、いつ
もいっていたんです」
劇評を見たときには脇役のことがどこかで書かれていますが、どのような芝居であっても
(一人芝居以外は)、必ずといっていいほど脇役がいるのですから、それなしの芝居は
あり得ないことです。
この連作を読みますと、そのことがよくわかります。