本日は午後から歯医者へと通院でありまして、診療予約をして行きますので、待ち時
間はいくらもないのですが、待合室で読むための文庫本を持参でありました。
この歯科医院の待合室には「週刊文春」がありまして、ふだん眼にすることのないコラ
ムなどを見ることもできるのですが、やはり文庫本のほうが落ち着くかなです。
本日持参したのは、ここのところ折をみては読んでいる岩波文庫「ランプの下にて」
でありまして、ほんと、これは興味深いことであります。
- 作者: 岡本綺堂
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/09/16
- メディア: 文庫
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ものなのですが、これを読むと江戸から明治という大きな時代の変化は、ほとんど感じ
とることができないからでありますね。
なんといっても明治30年頃の歌舞伎役者で中堅以上の役者は、ほとんどが江戸時代に
生をうけた人たちでありますし、ちょっと前までは河竹黙阿弥も生きていたのでした。
そうはいっても、この「ランプの下にて」には、明治に入ってからの新しい芝居の動
きについての記述もありです。
その一つは川上音二郎に代表される壮士芝居であり、もうひとつは江戸時代から続い
た男女合併興行の禁止がなくなったことですね。
江戸時代は、男は男だけで、女は女だけで芝居をしなくてはいけない規則で、歌舞伎
興行はいまも江戸時代のルールを守っていることになります。となると、宝塚というの
も、やはり江戸のルールでありますか。
この本には、次のようにありです。
「江戸時代からの掟として、男女合併興行は厳禁されていたので、女芝居はすべて女役
者のみで一座を組織しなければならなかった。その関係上、男の俳優とおなじように、
女役者のあいだにも立役と女形とは、はっきりと区別されていた。粂八は座頭であるか
ら当然立役であったが、その舞台顔が美しいのと舞踏が巧みであったのとで、自在に立
役と女形とを兼ねていた。」
なるほどなであります。