今年も山猫忌 9

 長谷川四郎さんの命日(4月19日)にあわせた山猫忌でありますが、最近眼にした
長谷川四郎さん話題をと思っていたものの、それが何であったのか忘れてしまって
おりました。
 月の初めにということで、月末から初めにかけて手元に届いた出版社のPR誌とか
雑誌に眼を通していて、長谷川四郎さんを話題にしている文章を見つけだしました。
 なんのことはない「本の雑誌」6月号にある津野海太郎さんの「百歳まで読書術」
にあったのでした。そういえば、数日前には絵本「ハハハのがくたい」の付録に
津野海太郎さんの「原始人 長谷川四郎」という文章が掲載されていると記しており
ましたが、これも紹介したくなる良い文章です。
{この文章は、どこかで読むことができるのだろうか。)
 「本の雑誌」6月号の津野さんの文章は「路上読書の終わり」となっています。
歩きながら本を読むことと、老いの自覚がテーマであります。
長谷川四郎さんは夜も昼も、じつによく歩く人だった。私は見たことはないが、上着
のポケットにいつも携帯版の外国語の詩集がはいっていたから、おそらく実際に
『街を歩きながら読む人』のひとりで、ときに『ぶつかりそうになって、人から、
叱られること』もあったのだと思う。・・・
 さしもの頑健な長谷川さん(北方系の骨太な大男だった)も年をとって、そろそろ
歩行読書がむりになっていたのである。案の定、その五年後、酔っ払って深夜の路上で
顚倒して頭を強打し、以後、原稿は夫人の口述筆記にたよらざるをえなくなった。」
 津野海太郎さんには、「歩くひとりもの」という著作があります。(元版が刊行され
た時点では、津野さんはベテランの「ひとりもの」であったのですが、文庫本となった
ときには、結婚してしまっていて、元版巻末に掲載の独身男三人での鼎談を文庫に収録
するかどうか、散々迷ったとありました。)

歩くひとりもの (ちくま文庫)

歩くひとりもの (ちくま文庫)

 
 この本には、「歩く男の死」という文章が収録されていますが、これは長谷川四郎さん
についてのものでありました。