月のはじめに

 四月から仕事場がかわりまして、やっと一月がすぎました。これまでの仕事場は、
自宅から車で25分くらいのところでしたが、今回はもうすこし遠くて50分くらいの
ところになりました。
 これだけの距離を走りますと、道々にいろいろと立ち寄りたく思うところがある
のですが、通勤にけっこう神経を使うことになり、あまり寄り道をしようという
気分にならずであります。(それにしても、この一ヶ月の間で、車による殺傷事故
の多かったことに驚いてしまいます。京都の街中での暴走、集団登校の小学生の列
につっこんだ無免許少年、そして深夜高速バスによる事故、車社会は本当に人間を
幸福にしたのであろうかと考えてしまうことです。)
 三月までは、休日前の仕事帰りにはブックオフに立ち寄ったりしていたのですが、
こうした生活パターンも四月には崩れてしまいました。調子があがっていない時は、
ブックオフなどにいっても、収穫がないのですよね。
 黄金連休(といっても当方の休みは、そんなに続かないのでありますが)にはい
る直前に、やっとこさで行きつけのブックオフに立ち寄りましたら、ちょうど文庫
本の均一セールをやっていまして、350円以上のものが二日間限定で一冊250円と
ありましたので、あさましくも、これまで手がでなかった以下のものを購入したの
でありました。

幾度目かの最期 (講談社文芸文庫)

幾度目かの最期 (講談社文芸文庫)

 これまで富士正晴さんに導かれて久坂葉子さんのものは、ずいぶんと購入してい
るのですが、さっぱり読んでおりません。これじゃいかんでありますが、読める
かな。 字が小さいのは残念ですが、老後の読書として、これはとてもいいものであり
ます。一編が短いのでなんとか読めますよ。歌舞伎俳優が探偵役というのがよろ
しで、話が歌舞伎の世界に及ぶのがお勉強になります。
 購入してすぐに読んだのは「目黒の狂女」という作品であります。今から25年
ほど前に目黒の住んでいて、目黒駅を利用して通勤していたことから、懐かしく
であります。
 昭和50年代に書かれた作品ということで。舞台となっている目黒駅バスターミ
ナルの風景は、当方がいたころともちょっと違うようであります。日本橋三越行き
というバス停のことが登場しますが、これは昔の都電のなごりのバスですが、名所
巡りのような趣のものでした。
 そういえば、こちらのバス停のほうにもとんかつで有名なお店(権之助坂のほう
にあるのと同名でした)がありましたが、数年前に訪ねた時は、すでに閉店して
いたようです。