鉄道で長距離を走るというのは、最近では珍しいことになってしまいましたが、
当方が飛行機に初めてのったのは、二十歳をすぎてからのことでした。(今から
四十年も前のこと)
川本三郎さんの「小説を、映画を、鉄道が走る」を見ていましたら、その第一章に
次のようにありました。
「明治四十二年(1909)生まれの松本清張にとって旅とはあくまでも列車の旅だった。
だから『点と線』の刑事たちは、飛行機を使った犯人のトリックをなかなか見破れ
なかった。『点と線』が発表された昭和三十年代のはじめには、まだいまのように
飛行機は普及していなかったから仕方がない。刑事たちはおそらく飛行機に乗った
ことがなかったのだろう。」
当方が大学にはいって、いなかから列車を乗り継いで旅行したのですが、それは
1970(昭和45)年のことでありました。この時代には、スカイメイトという制度が
できていまして、飛行機をつかう学生も多くなっていました。当方はなぜか、列車
を愛用していました。長い距離を移動するのに、それなりに時間をかけたほうが
はるばると来たという感じになったからかもしれません。利用した特急列車「白鳥」
という名前が気にいっていたせいもあるでしょう。「未知から白鳥は来る」であり
ます。
昨日に嵐山さんが「カシオペア」がへんなところを走っている図があると記しま
したが、これに関連する記述が川本さんの本にはありました。
「小沢駅のある函館本線は現在、影が薄い鉄道といっていい。というのも函館ー
札幌間は、室蘭経由の室蘭本線、さらに千歳線のルートのほうが優遇されていて、
函館本線の長万部ー小樽間はきわめて本数が限られている。現在、札幌から小沢駅
まで行こうとすると苦労する。札幌から小樽までは頻繁に列車が出ているが、小樽
から先、長万部までは極端に本数が少ない。」
かっては函館から札幌の特急列車が走っていた長万部ー小樽間でありますが、
今は昔であります。札幌のゲームソフトの会社がスポンサーとなったSLが走った
路線ですが、あのゲームソフト会社は吸収されて名前が消滅すると、最近のニュース
にありました。
北海道にも新幹線をということで、あと何十年かしたら函館ー札幌間を新幹線が
走るといわれていますが、この路線は、かっての函館本線のほうであります。