北の無人駅から 8

 「北の無人駅から」を話題にしていて、今福将雄さんで終わりというのは、いかがな
ものかと思ってしまいました。それにしても、この本の著者 渡辺一史さんは、今福
さんのことをご存知であるから(または、映画を見て今福さんのことを認識していて)
食堂の壁にはられていたサインに反応したのでしょう。当方がこどものころに撮影の
ためにきていた今福将雄さんからサインをもらっていなかったのは、失敗でありまし
た。この本のことは、今福さんの名前を見たということで記憶することになるのかも
しれません。
 しかし「北の無人駅から」というにふさわしいのは増毛駅であるよりも、そのあとの
章におかれた白滝村にある駅のほうであるようです。白滝村というのは、平成の大合併
で姿を消してしまった自治体でありますが、広い北海道でありますからして札幌の周辺
白滝村がどこにあるか知っているかとたずねても、ほとんど正しいこたえはかえって
こないのではないかと思われます。
「奥白滝駅は、廃止される以前から鉄道ファンの間では有名だった。」とあります。
 どうしてかといえば、「停車する列車が上り一本、下り一本であることから”一日
一往復の駅”とも呼ばれて珍しがられていた。」からです。鉄道ファンのほうが鉄道
地図を通じて、白滝村の場所をきちんと押さえていたでしょう。
 鉄道マニア(それこそ「秘境駅マニア」でしょうか。)には、「白滝シリーズ」踏破
を目標としている人がいるようであります。一日一往復しか列車が止まらないという
ことは、鉄道をつかってこの駅に降り立つと、次にくる列車はずっと後ということに
なります。列車をつかって踏破しようとすると、この白滝シリーズの5駅に降りたつ
ためには、何日もかかることになります。