このブログを記するにあたっての引っ張り出してきているのは、とうようさんによる
初期の著作であります。先日に「フォークソングをあなたに」の表紙を掲げましたが、
それとともに、横に置いているのは、次のものです。
フォークからロックへ (1971年) (ロック・ミュージック・ライブラリー)
- 作者: 中村東洋
- 出版社/メーカー: 主婦と生活社
- 発売日: 1971
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ように取り上げています。
「8月13日(土)朝、きのうの古本祭りで買った中村とうよう『フォークからロックへ』
を読む。一九五五年から七一年に至る十二章立てのアメリカポピュラー音楽史の章の
始めと終わりに中村とうようのライフヒストリーが語られる。(例えば一九五七年の章の
書き出しは『一九五六年春、大学を卒業し、東京で銀行に就職した」、そして六二年の章
のそれは、「音楽評論を職業にしようと、本気で意欲をもやし始めたのは一九六一年の春
ごろのことだったと思う。」といった感じ)のが貴重。」
この本に収録されている評論よりも、こちらのヒストリーのほうが当方にはアピールを
したかもしれません。すこし早いめにこの本のことを掲載するのは、これからの引用を
考えているからであります。ちなみに中村とうようさんは、1932年生まれでありますの
で、当方よりも18歳ほど年長であります。
これのライフヒストリーからであります。
「大学時代は、自分で雑誌を出すよりも、印刷そのもののほう、つまりガリ版印刷の
アルバイトに精を出した。ポピュラー・ミュージックに積極的な興味をもつように
なったのも大学に入ってからで、その点ではオクテということになる。だが何でも夢中に
なるタチなので、せっせとガリ版のアルバイトをやってはレコードを買ったものだ。
最初はヒット曲からはいって行って、ジャズ、シャンソン、ラテン、タンゴと一通り
何でも聞いた。ぼくが大学に行っていた町は京都なのだが、ここに中南米音楽研究会京都
支部というものがあることを知って入会してからは、ラテンが中心になった。」
中村とうようさんも、ヒット曲からはいったというのがうれしいことです。それから
いろんなジャンルを聞いていて、そのなかで中南米音楽を聞き込んで、デビュー著作と
なる「ラテン音楽入門」(当方、これは未見です。)を刊行することになります。
とうようさんのデビューは「ラテン」であったのですから、まずは「ラテンから
フォークへ」という過程があったわけですね。
先に引用した「ラテンが中心になった。」のあとには、「ラテンといってもいろいろ
あるが、アルゼンチンあたりの民謡が一番好きだった。」と書いて、ユパンキに言及して
いるのですから、ラテンといっても、いまであれば「フォルクローレ」ということに
なり、それからアメリカのフォーク・ソングまでは、ほんのちょっとの距離であるよう
に思います。