小沢信男著作 220 悲願千人斬の女

「裸の大将一代記」に続いて刊行された単行本は、「悲願千人斬の女」となります。

悲願千人斬の女

悲願千人斬の女

 装丁 南伸坊  装画  豊国「俳優似顔東錦絵」(国立国会図書館所蔵」
 担当編集者 伊藤笑子 松田哲夫

 初出一覧
 悲願千人斬の女 松の門三艸子 「新潮45」1996年二月号・三月号
 いろは大王   木村荘平   「書生と車夫の東京」収録に加筆
 日本一の狂人  芦原将軍   「新潮45」1994年五月号
 超俗の怪物   稲垣足穂   「新潮45」1993年三月号・四月号  

「悲願千人斬の女」に所収の文章の初出は、「新潮45」でありました。年に一度
は執筆依頼があって、これは新潮社からの単行本になるのかなと思いましたが、
それは実らずでした。
 この本のあとがきには、次のようにあります。
「松の門三艸子、芦原将軍、稲垣足穂にかかわる三篇は、いずれも平成のヒトケタ、
西暦で1990年代に、雑誌『新潮45』に書きました。このほかいくつか評伝の類を書いて
います。はじめは提案されるテーマにとりくむうちに、汝が年来抱いているテーマを
こそ吐き出せ、と唆され、その気になって提案したのが上の三篇です。文筆の仕事は、
つくづく編集者との協同の作業なので、担当は矢代新一郎氏でした。
 矢代というめずらしい姓に私は馴染みがあって、小学校の級友に、劇作家の矢代静一
氏がいました。そのことを初対面のおりに申しあげると、息子です、と新一郎氏に答え
られ、もしや縁者かなぁぐらいの探りが大当たりで仰天しました。
十代の小学生時分から芦原将軍の雷名はとどろいていて、以来半世紀持ちこしたテーマ
にとりくむのに、当時の友達の令息のお世話になろうとは。これも機縁の一つで
しょう。」