最近の翻訳小説 2

 最近は、新しい小説家のものは、とんと手がでなくなったいますので若手作家と
いっても50代くらいになっていたりします。話題となる作家のものなど、ちょっと
のぞいてみたくもなるのですが、現実にはなかなか手にするにいたりません。 
 外国の小説の場合は、もっとひどくって推理小説であれば「フロスト警部」ものが
でたら、かろうじて購入するくらいのもので、他の一般作家ではただ一人
デイヴィッド・ロッジの作品のみを継続して購入しています。
 ということで、本日はロッジの新作を購入した話です。

ベイツ教授の受難

ベイツ教授の受難

 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』から引用します。
デイヴィッド・ロッジ(David Lodge, 1935年1月28日 - )は、イギリスの作家、
英文学者。英文学者の経歴を生かした、学者世界を舞台とした「コミック・ノベル」
作品で知られる。」
 小説 [編集]
大英博物館が倒れる 白水社, 1982.8(The British Museum Is Falling Down 1965)
交換教授 白水社, 1982.1(Changing Places: A Tale of Two Campuses 1975)
どこまで行けるか 白水社, 1984.2(How Far Can You Go?1980 )
小さな世界 アカデミック・ロマンス 白水社 1986.3
             (Small World: An Academic Romance 1984
素敵な仕事 大和書房, 1991.10(Nice Work 1988)
楽園ニュース 白水社, 1993.6(Paradise News 1991)
恋愛療法 白水社, 1997.9(Therapy 1995)
胸にこたえる真実 白水社, 2000.3(Home Truths 1999)
考える… 白水社, 2001.8(Thinks... 2001)
作者を出せ! 白水社, 2004.12(Author, Author 2004)

文学研究書 [編集]
フィクションの言語 イギリス小説の言語分析批評 松柏社 1999.11
 (Language of Fiction 1966)
バフチン以後 <ポリフォニー>としての小説 法政大学出版局 1992.3
(After Bakhtin 1990)
小説の技巧 白水社, 1997.6(The Art of Fiction 1992) 」

 ロッジは、当方よりも16歳は年長でありますが、書かれた作品の翻訳が初めてでた
のが、ちょうど16年後くらいでありましたので、最初に作品を読んだときの時差の
せいもあって、ほとんど同世代の作家であるかのように思えました。白水社「世界の
文学」シリーズで同じ装丁で、最初三冊がでたのですが、その後は、新作がでると
二年ほどで翻訳がでるようになって現在にいたっています。
 最近は、あまり読むことができていないのですが、とにかく面白くて読みやすく、
しかもためになるというすぐれた作品群です。
今回の作品には、帯がつけられていまして、そこには「迷える中高年必読、英国
コミックノベルの至宝」とありました。初期の作品である「どこまで行けるか」は
「迷える青年必読」であったように思います。
ということは、作者は「どこまで行けるか」から28年たって、中高年にむけた人生
指南小説を発表したといえるようです。
 この小説には作者による「献辞」が掲げられていますが、これはロッジの作品を
諸外国語に翻訳する翻訳家へのものです。
「 英語の題名からして、この小説が翻訳者に特殊な問題をつきつけるのを自覚して
いるので、多年にわたって私の作品をさまざまな言語に翻訳することにおのが技量
を用いてきたすべての方、とりわけ個人的な友人になった何人かの方に、この小説を
捧げる。」
 この最後に「そして高儀進」と日本語への翻訳家さんの名前がありました。
ディヴィッド・ロッジの小説の翻訳は、ほとんど高儀さんの仕事でありまして、
高儀さんの訳が良かったからこそ、ここまでロッジの翻訳が読まれるようになったと
いえるでしょう。