硫酸紙のこと

 「ブンブン堂のグレちゃん」の「硫酸紙でカバー」というところで、
盛り上がっています。ネットには、これについての話題がたくさん
あるはずと思って検索をしてみたのですが、かえって混乱することも
あるようです。
 硫酸紙は商品名としてグラシン紙というのが定着しているようですから、
興味があるかたは硫酸紙、グラシン紙で検索をかけてみますといろいろと
知ることができるようです。
 この紙を一番消費しているのは、古本関係でしょうか、それともホーム
メードケーキの分野でしょうか、それともカニ缶詰業界でしょうか。
 最近は、この紙は一般にはあまり目にしなくなっているようですが、
その昔は、半透明の紙というのがなかったせいもあって、ずいぶんと
使われたようで、薬包紙(粉薬を包む紙)とか、カメラで撮影したネガ
フィルムの保存スリーブ、本のダストカバー、かわったところでは紙風船
つかわれていたのも、グラシン紙であったとのことです。
 ホームメードケーキを作る時、パウンド型などの内側にはるというのは、
いまでも一般的な利用ですが、そのほかは、すべて他のものに置き換わった
か、ほとんど姿を見なくなってしまっています。
 そうしたなか、古書の世界のもは堂々の現役でありまして、愛書家の美本
へのこだわりを感じることができます。
 小生が、初めて文庫を購入したころは、グラシン紙のカバーがかかって
いました。岩波文庫にもひものしおりがついていたころの話です。これが
いまのようなカバーに切り替わったのは、何年ころでしたでしょうか。
岩波文庫総目録を見たら確認できそうですが。)
 全集などは、本にグラシンカバーがかかっていて、さらに箱もグラシン紙で
まかれていたのでした。いまから25年くらい前の全集はそうであった
ようですが、いつごろからこれもかわったでしょうか。
 この時代の全集というのは、表紙はクロス装で、きちんとした箱に
はいっていましたから、客の手にわたすまで、すこしでも美本でおきたいと
いう気持ちがわからなくもなしです。
 古書目録をみますと、美本、元パラという文字が目につきますが、美本は
すぐにわかりますが、元パラというのがはてなです。販売された当時に
つけられていた元のパラフィン紙がついてますの略ですが、半透明の紙を
パラフィン紙で代表させているようにも感じますが、元パラでくくられて
いる紙のほとんどはパラフィン紙ではないでしょう。
 グラシン紙で蔵書をカバーする愛書家たちは、帯と本体とカバーを
一体として保存し、しかもよごれずにカバーの上から判別できるという
ことで、半透明のカバーが重用されるのですが、帯が見つからなかったり、
背焼けしていても気にもならないなんてのは、愛書家の範疇にははいりま
せん。(これは小生のことでした。)