銀花16号から

 小生が「銀花」を継続購入していたのは、わずかに2年ほどでありまして、
全部あわせても手元には10冊ほどしかありません。初期の「銀花」は限定本に
ついて特集することが多く、この雑誌がなくては、湯川書房の限定本の存在を
知ることはなかったでしょう。
 小生が購入してた73年から2年ほど(15号から25号くらいまで)の
「銀花」をとりだしてきて、久しぶりに特集ページと「書物雑記」のところを
見ております。
 へえーこんなところに、このような記事があったのかと思いながら見ているので
ありますが、35年もたっているのですから、記事のことを忘れていても仕方が
ありませんでしょう。
「 湯川書房主(湯川成一)を励ます会  湯川書房摂津市正雀本町2−3−24)
 といえば、ここ数年来、関西で愛書家のため、手作りの限定本を刊行している
 特殊な出版社。五年前『好きな作品を好きな装幀で出版したい』という願いから、
 本作りを始めた。処女出版は辻邦生の『北の岬』である。その後・・・など
 十六点を上梓、いずれも手漉きの和紙や凝った用紙を用い、木村茂、谷川晃一らの
 銅版画の表紙や、手描きの描画をあしらった豪華装幀本で、限定二百部程度、
 中には限定三十部などというものもある。季刊『銀花』第十四号の紹介が機縁と
 なり、大阪本の会が発起し、九月二十二日(土)大阪 中之島のグランドホテルで、
 主賓湯川成一氏を中心に、ゲストとして小川国夫、塚本邦雄庄司浅水木村茂
 の諸氏出席(辻邦生氏はやむを得ざる所用のため欠席)、東京、熱海、名古屋
 はじめ、大阪を中心とした出席者は五十数名、本を中心とした会としては、大阪
 はもちろん、日本全国でも珍しい。なお当日出席者には、塚本邦雄著『銅曜集』
 (限定百部、著者書名入り)と極彩色孔版『湯川道中双六』が配られた。」
  『季刊 銀花 第十六号 書物雑記』 より 
 
 これは、編集長である今井田勲氏が、この会に参加して報告となったものでしょうが、
なにか、すごく贅沢な会のように思います。いまから35年前ですから主賓もまだ
30代でありました。 
 「銀花」第十七号の書物雑記には73年度限定本ベストテン( 大阪 本の会選定)
がのっていまして、そこには第2位に辻邦生「安土往還記」湯川書房がありました。