ブンブン堂のグレちゃん

 「仙台が親戚」様にお知らせいただいた「ブンブン堂のグレちゃん」をやっとこさで
確保いたしました。もともとは「彷書月刊」という本好きの方のための雑誌に連載された
ものを一冊としたものでありました。そのせいもあって、古本好きの方にはけっこう
この作者とコミックは知名度が高いようです。表紙カバー絵は、木版画となっていますが、
表紙をめくると、そこには古書店の棚写真がのっているのでした。どのような本がならんで
いるのだろうかと、すこしゆっくりとながめておりました。
 ここには上林暁の「ジョン・クレアの詩集」筑摩書房の初版本が4500円という値段で
ならんでいます。程度の良い本であれば、このくらいの値段で売られているのかなと
思いつつながめたのですが、この本をいまから20数年前に、ちょっとかわった形で
購入したことを思い出しました。
「ジョン・クレアの詩集」というのは、上林暁が東大時代に教えを受けた英文学者で
詩人の「エドモンド・ブランデン」が研究していたあまり有名でない詩人のことでありまして、
ブランデンが教え子に自分の蔵書を譲ると張り出したら、あまり目立たない学生であった
上林暁が、「ジョンクレアの詩集」を譲ってほしいと希望して、これが意外であったと
いうような話と、それから20数年たってから戦後の日本をエドモンド・ブランデンが
再訪したときに、上林暁と再会する話です。この作品の初出は昭和44年ですが、この
作品集には、「中学一年生」という昭和44年4月号の雑誌「展望」に掲載された
小説がのっていまして、この作品を読み返したいと思ったことが、この作品集を
入手したいと思った理由です。
 それから10年くらいもたってでしょうか、当時刊行されていた「本の本」という
雑誌がありまして、それには古本販売のカタログが掲載されていたのですが、すこし
かわっているのは、それがオークションになっていることで、希望の価格を葉書に記入して
編集部におくると、一番の高値をつけた人が落とすということになりました。
 当時は、いまほど古本の情報がありませんでしたので、どこかの古書目録で見つけるか
古書通信をみるか、足まめにさがすしかなかったのですが、当時の値段で2500円
くらいをつけたようにしますので、けっこう思い切った値段であったかもしれません。
 小生のなかでは、「ジョン・クレアの詩集」「エドモンド・ブランデン」「本の本」と
いう具合に連想がはたらくのでありました。