中野書店「古本倶楽部」2

 

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

 昨日に中野書店の目録が届いて、そこには19800冊もの本が掲載されて
いると報告をいたしましたが、今回は同時に「記念別冊 おしゃべりカタログ」と
いう冊子が送られてきていました。たいした期待もせずにみておりましたら、目が
点になりました。
なんとなんと、「ユリイカ抄」の元版が写真入りで紹介されていました。
小生は、この本を写真ですらみたことがなかったので、このカタログには本当に
驚きました。
 「おしゃべりカタログ」とありますとおりで、この本についてのちょっと長い
コメントがありますので、これを以下に紹介することとしましょう。

「 『ユリイカ抄』伊達得夫 限定200 函付
 別冊『ユリイカ総目録』共 昭和37年1月16日刊 
 戦後詩を語るにはかかすことのできない出版社、書肆ユリイカの社主(といっても
一人きりの出版社ですが)伊達得夫の遺稿集。詩人たちのエピソードやエッセイ、
童話を収録しています。もともと本書は伊達の早すぎる死を惜しむ詩人たちが
200部刊行し知友に配った、いわゆるお饅頭本ですが、内容は実に面白い。
出版を志す人のひとつの指針としてエディター叢書の一冊に組み入れられ、近年では
平凡社ライブラリーとして刊行されて、今なお読み継がれています。」 
 
 この本を探している人は多いとおもうのですが、これにすぐ反応して連絡を
いれて入手したひとはよほどラッキーであるように思います。この販売価格は、
最後のところに記すことにしますが、これがオークションであればどのくらいの
値段まであがるでしょうね。
 饅頭本で200部、どちらかというとごく内輪に配られたので、そんなに頻繁に
市場にはでないものでありまして、どのくらい現存していることが確認できるの
でしょう。
これを受け取った200人のお仲間の詩人たちがなくなって、蔵書等が整理されれば、
そのときは出てくる可能性は高くなるのでしょうが、もうその時代はきているという
ことでしょうか。
 エディター叢書となったときでさえ、入手が困難であったのですからして、平凡社
版がでた今となっては、本当の稀覯本でありましょう。伊達得夫ユリイカ版への
評価とはちょっと違っていますが、いまはユリイカ本への関心が高まっていますから
して。
 ユリイカ刊本のコレクションをしている「田中栞」さんもお持ちでないような気が
しますが、今回は参戦することができたのでしょうか。
 ちなみに気になるお値段は63,000円でありまして、ユリイカ関連では、もっと
値段の高いものもありますが、それらは版画がはいっていたりしますのから、相当に
高いものですね。
今回の目録には、限定300部 中村真一郎詩集 昭和25年刊 が50,400円とあり
ました。どちらにしても、ユリイカ本のコレクションを、これから志すのは、財布と
相談です。