中野書店「古本倶楽部」

 本日届きました中野書店「古本倶楽部」200号は、超特大号ともいうもので、
449ページ、掲載されているのは19800冊となります。夕食を終えてから
手にして見てみましたが、圧倒されるのでありました。しかし、こんなにもある
のに、これはすぐにでも注文をしなくてはいけないというものがないのは、どう
してでありましょう。
 今回の特集は、「草稿・書簡」になっていますが、貴重な草稿も、個人で所有
することに、なんの意味があるかと思うと食指がのびません。
小生ひいきの「小沢信男」さんの草稿などもでているのですが、これは以前から
売れずに残っているものでした。小沢さんの草稿が、どうして「中野書店」に
持ち込まれたかということについての不思議な話は、小沢さんによって発表
されていますが、そういうことがあるのですなと、そのときは素直に思いました。
 それによると小沢さんの原稿をめぐっては、誰も悪い人が登場せずでありまして、
これは小沢さんが、意識的に悪人が登場しないように小沢さんがアレンジしている
のかもしれません。どのみち、「新日本文学」の仲間に累が及ぶのをさけるために
ですが、しかし、これはすこし美化しすぎているかもしれませんね。
( 新日本文学の編集長をしていた西原啓さんのところに、昔の原稿がダンボールに
いれたままで、保存されていた。この西原宅が、火事になって、ダンボールに
はいった原稿は、水をかぶったり、焼けこげたりで、どうにもならなくなっていた。
それで、小沢さんのところに、このようになったが、どうしようと相談がきて、
置き場所にもこまるので、回収にでもだすようにしてと回答をしたら、ちりかみ
交換業者に引き継がれることとなったとのこと。
 あとはこの業者が、古本屋へと持ち込んだいうことで説明をおこなっているので
あります。火事の現場を片づけした人が、直接持ち込んだということもあるのかも
しれませんが、ほとんど謝礼も払われることなく、もくもくと西原宅の片づけに
参加していた新日本文学関係者は、この生原稿くらい、すこしいただいても
許されると思ったかもしれません
 これが、数年前に村上春樹さんの草稿が古本屋で売りに出て、その昔に村上さんを
担当した編集者が、返却せずに持ち込んだのではないかという事件との違いであり
ます。どちらかというと、村上さんの事例のほうが、すくいがたいといえるので
はないでしょうか。
 今回の目録には、新日本文学に掲載した小沢さんの「ハセガワシロウの声きけば」と
いう文章の原稿22枚がのっていますが、これの値段は47250円です。
 これはしかるべきところにおさまるべき文章でありまして、個人で購入して
どうこうすべきものではないと、あいかわらずで理想的な話ばっかりしか聞かされて
いませんです。