図書館から借りた松田哲夫さんの「編集を愛して アンソロジストの優雅な
日々」を手にしています。
昨日に引き続きの話題でありますが、表紙には、松田さんとは古くからの付き
合いである南伸坊さんによるダンディな松田さんの立像があしらわれていて、
にこっと笑った表情が印象的です。
松田さんは、当方よりも4歳ほど年長でありますが、お元気なによりと思ったの
ですね。
この本に収録の文章を見ておりましたら、ほとんどが古いもので、これまでの
単行本に収録となっていないものが中心となっていました。
初めて目にするように思った「装丁ものがたり」も、20数年前に「本の雑誌」に
連載されたものであることがわかりました。
松田さんといえば、当方は見てはおりませんでしたが、TV番組で本の紹介な
どを行っていたのですから、もうすこし新しい文章が収録されていてもいいのに
と思ったことです。
ランダムにページをめくっておりましたら、2009年12月に産経新聞に寄稿
した「難病二冠王の心構え」という文章がありました。
それはまだ筑摩書房役員であった2007年に関節リウマチの診断を受け、
その後にはパーキンソン病の診断を受けることになったことを報告するもので
ありますが、このことはまったく知りませんでした。
2008年に会社を定年退職して、フリーの編集者となったのですが、この病気
とはずっとつきあうことになったのです。そして、この2009年の文章には、付記と
して、2017年以降の身体の状態のことが書かれています。
2017年には脊椎管狭窄症診断されたとあります。それに続いてのくだりです。
「パーキンソン病からくる運動の不都合にこの病気のそれが重なると身動きが
取れない。こうなると仕事どころではない。NHKラジオ深夜便の出演も中止し、
四本あった連載コラムも終了させ、猿楽町の事務所も閉じた。・・・
その後、2019年10月、肺気胸で緊急入院・手術した。また20年8月、洗濯物
を干していて急に転倒。起立性低血圧、誤嚥性肺炎で入院する。そこで頭部に
慢性硬膜下血腫が見つかり、二度手術をして退院。そのあとはショートステイを
経て介護付き老人ホームで暮らしている。」
なんと、これは大変なことでありまして、とても「優雅な日々」とはいえないこと
であります。
松田さんのあとがきには、「今回の本は、イレギュラーなことも多く難しい仕事
だった。その一つは僕の病気だ。」とあり、「パソコンも使用困難になり、まともな
字が書けなくなり、入力に手間がかかった。」と続いていました。
「まだまだやるべきことはあると強く思う。限られた命だが、出版界や筑摩書房
への恩返しをしたい。」で結ばれていました。
誰しも加齢によって、体調に変化をきたすのは避けることはできないのですが、
50年を超える松田哲夫さんのファンとしては、松田さんの願いが叶うことを祈ら
ざるにはいられません。
