表紙の裏

 出版社のPR雑誌の表紙裏といえば、出版社の広告とか表紙に掲載した絵画等の説明
になっていたりします。
 岩波「図書」は、ここずっと宮下志朗さんが担当して表紙にとりあげた本について
の解説を書いています。ちなみに2013年二月号は、表紙は「ふらんす百綺譚」という
本の書影をかかげて、表紙裏ではこの本についての解説です。これまであまり日本語
の本が取り上げられた覚えがないので、余計に印象に残りました。この1949年に
洛陽書院というところからでたものは、「百綺譚」のうち40話を収録したのにすぎ
なく、全百話が刊行されたのは筑摩書房から1964年だそうです。
そういえば、「ふらんすデカメロン」というのがありました。
洛陽書院版は、六隅許六こと渡辺一夫さんと鈴木信太郎さんの連名で装幀者となって
いるのだそうです。
 渡辺一夫さんは筑摩書房から著作集が刊行されている仏文学者ですが、鈴木信太郎
さんも仏文学者で、大修館書店から著作集がでていました。この鈴木信太郎さんを
中心にした「フランス文学者の誕生 鈴木家の人々」という連載が、現在「ちくま」
で進行中です。
「ちくま」の表紙は、ここのところ鬼海弘雄さんによる浅草での定点観測による無名の
人々の肖像です。どんなに評判がよろしくとも二年間で交替がルールのようであります
が、鬼海島の住人は、ものすごく存在感がありです。
「ちくま」裏表紙には、鬼海さんが表紙を飾った人物についての文章をのせています。
「ちくま」の表紙に採用されるためには、文章を書くことができなくてはいけないよう
です。鬼海さんの前任者は林哲夫さんでありました。
 先日に届いた「みすず」は、表紙は大竹昭子さんの写真ですが、裏はここのところ
ずっと小沢信男さんがつとめています。「賛々語々」というタイトルですが、今回の
読書アンケート号は連載32回目となります。