まだ文庫で読んではいないが

 先日に新潮社「波」8月号が届きました。今月も文庫「百年の孤独」に

まつわる話題がいくつかありました。当方は、文庫が店頭に並んだ日に購入

をしたのですが、いまだ文庫では読むことができておりません。(ニケ月ほど

前に元版で読んでいましたので。)

 今回の文庫「百年の孤独」は、ここ何年かでの新潮文庫最大のヒットである

ようで、新潮社は喜んでいるのがうかがえる特集であります。

そういえば、文芸誌「新潮」も「百年の孤独」の特集を組んだとのことですが、

これもずいぶんと売れたと聞きましたです。(こちらの方は、いまだに手にして

おりません。そのうち「図書館」でのぞいてみましょう。) 

 新潮「波」8月号には、「世界を滅亡から一度は救った女性」という見出し

で、日本語版「百年の孤独」初代担当編集者である塙陽子さんへのインタ

ビューが掲載です。(塙陽子さんとは、いかにも伝説の編集者を思い出させる

ことですが、関係なしかな。)

 このインタビューのなかに初版刊行直後の反響についての質問に、塙さん

が次のように答えています。

「あまり反響はなかったの。編集者って、書評や紹介が出ると、作家や訳者に

コピーなんかをお送りするでしょう、あの本の場合、ほとんどお送りした記憶が

ない。そうそう、丸谷さんは最初からいろいろ話題にしてくださいましたね。」

 これに続いて丸谷さんは植草甚一さんから薦められてとあるのですが、

これは丸谷さんの「遊び時間」に収録のエッセイにあるところですね。

植草甚一から丸谷才一、そして林達夫へとつながる豪華なリレーです。

vzf12576.hatenablog.com このインタビューを読んで、どこかに篠田一士さんの名前がでてきてもいい

のになと、篠田ファンの当方はそう思いました。

 その当時(1970年代はじめ)にラテンアメリカ文学を話題にする人はほとん

ど日本にはいなかったのですね。そんな時代に新聞などでラテンアメリカ文学

の紹介をしていたのが篠田一士さんでありました。

 当方のスクラップ帳に貼ってある「ラテン・アメリカ文学」という新聞切り抜き

(残念ながら掲載紙と日付がなしです。コロンビアのマルケスはついこのあい

だ「孤独の百年」という傑作長編の翻訳で初登場したばかりとありますので、

72年のものですか。「孤独の百年」は原題でありますから、篠田さんは、翻訳は

読んでいないのかもしれません。)

は次のようにあります。

「現在、世界の文学の中で一番活気にあふれ、しかも、未来への豊かな可能性

をはらんでいるのがラテン・アメリカ文学であることは、少なくとも日本では知る

人ぞ知るといった程度だが、もう、動かしようのない厳たる事実である。ところが

不思議なことに、新し好きの先物買いでは名うての日本のジャーナリズムがこの

新開地にはなかなか手をださない。いい翻訳のできる人がほんのわずかしかい

ないということも大きな理由だろうが、・・・前人未踏の秘境となると足がすくむと

いう出版界の保守性が、結局、災の根本原因になっているのではないか。」

 篠田さんは、若いころにボルヘスの小説をロジェ・カイヨワの翻訳で読んで

感動し、それからスペイン語を学んだというツワモノです。

 このような文章が書かれていたことを頭において、塙陽子さんのインタビュー 

読んでみると感慨深いものがあることです。